海の底はすばらしい

トムとジェリー：海の底はすばらしい

1949年9月3日に公開された『トムとジェリー』の短編アニメーション『海の底はすばらしい』(原題:The Cat and The Mermouse)は、陽光降り注ぐ海岸から始まる、予測不能な冒険物語です。

物語の主人公は、いつものように日光浴を楽しむトムと、釣り糸を垂らすジェリー。しかし、彼らの平和な時間は長くは続きません。ジェリーのいたずらによって、トムは海へと突き落とされてしまうのです。

カナヅチのトムは、溺れながらも海底へと沈んでいきます。ところが、目を覚ますとそこは息苦しさを感じない、不思議な海底世界。トムは自由に泳ぎ、マンボウやカメと共泳ぎするなど、想像を超える体験をします。

しかし、海底での安らぎも束の間、トムはジェリーそっくりな奇妙な生き物と遭遇します。それは、上半身がネズミ、下半身が魚の「マーマウス」と呼ばれる、架空の生物でした。

マーマウスのいたずらに翻弄されながらも、トムは彼を追いかけます。海底を舞台に繰り広げられる、ドタバタ劇は、見ている者を飽きさせません。しかし、トムの冒険は、マーマウスだけにとどまりません。巨大なカジキマグロや、巨大なタコといった海の危険な生物も登場し、トムを絶体絶命の危機へと突き落とします。

カジキマグロとの死闘では、トムはスコップを武器に勇敢に立ち向かいますが、その勢いに圧倒され、今度は巨大なタコの餌食になりそうになります。

窮地に陥ったトムを、マーマウスは最初は見捨てようとしますが、最後はトムを助けるために、タコと対決します。タコの吸盤とマーマウスの引っ張り合いの最中、トムは意識を失ってしまいます。

気が付くと、トムは桟橋の上にいました。壮大な海底冒険は、全て夢だったのです。実は、溺れたトムはジェリーに助けられていたのです。ジェリーからの救助に、トムは安堵の表情を浮かべ、感謝の気持ちを表します。

この作品では、トムとジェリーの定番の追いかけっこに加え、海底という非現実的な舞台設定と、個性豊かな海の生き物たちが物語に彩りを加えています。マーマウスをはじめとする個性豊かなキャラクターたちの行動や、トムの予想外の行動は、視聴者に笑いと驚きを与えてくれます。

監督はウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ、製作はフレッド・クインビー。スタッフロールには、ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ、そしてケネス・ミューズ、エド・バージ、レイ・パターソン、アーヴン・スペンス、アル・グランドマインといった、数々の才能あるアニメーターの名前が連なっています。

『海の底はすばらしい』は、トムとジェリーの代表作の一つとして、今なお多くの人々に愛され続けています。その魅力は、単純な追いかけっこだけでなく、ユーモアとサスペンス、そして友情が絶妙にブレンドされた、完成度の高い作品であることにあります。海中冒険の興奮と、夢と現実の境目を行き来する展開は、子供から大人まで、幅広い層を魅了するでしょう。

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