海塚新八

海塚新八

海塚新八（かいづか しんぱち、1872年10月11日（明治5年9月9日） - 没年不明）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家、資産家であり、広島県における多額納税者でした。東洋コルク工業（現在のマツダ株式会社）の初代社長を務めたことで知られています。旧名は卯三郎。

生涯

広島県出身の海塚新八は、1872年に海塚家の長男として生まれました。1914年、家督を相続し、それまでの名前であった卯三郎を改め、新八を襲名しました。彼は銀行や会社において重要な役職を歴任し、その手腕を発揮しました。具体的には、広島産業銀行の頭取、広島電気の社長を務めたほか、広島合同貯蓄銀行、藝備銀行、日本麻紡績、広島電気製作所、中外商事、芸備鉄道といった多岐にわたる企業の取締役を歴任しました。また、中国商業銀行、可部銀行、広島米穀取引所では監査役を、広島株式取引所では理事を務めるなど、幅広い分野で活躍しました。1920年からは、東洋コルク工業（現マツダ）の初代社長として、同社の発展に尽力しました。

人物像

1921年（大正10年）の『商工資産信用録 第22回』における調査によれば、当時の海塚新八は「正身身代・G、信用程度・Aa、職業・金穀貸付」と評価されており、高い信用力を持つ資産家であったことがうかがえます。また、貴族院多額納税者議員選挙の互選資格を有していました。当時の住所は広島市塚本町にありました。

家族

海塚家は、新八の父である新八（1847年 - 1913年）の代から広島で財を成しました。父・新八は佐伯郡海老塩浜（現在の広島市佐伯区）で塩田を経営していた清水屋新平の次男として生まれましたが、1872年に広島の西地方町にあった質屋・肥料問屋である海老屋の養子となり、肥料商を営む傍ら金融業に携わることで一代で財を築き、広島財界の有力者となりました。

新八の継母はイワ（1853年 - ?、広島、秦正作の長女）、妻はヤエ（1873年 - ?、広島、深田稔の妹）です。長男の彦三郎（1891年 - ?）は広島産業銀行の取締役を務めました。彦三郎の妻はシゲ（1900年 - ?、広島、本田権平の養子）です。

親戚には、米穀商であり広島県多額納税者であった本田権平がいます。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。
『全国五十万円以上資産家表 時事新報社第三回調査』時事新報社、1916年。
西原芳外『黄金万能』地上社、1917年。
人事興信所編『人事興信録 第5版』人事興信所、1918年。
商業興信所編『商工資産信用録 第22回』商業興信所、1921 - 1926年。
人事興信所編『人事興信録 第7版』人事興信所、1925年。
織田正誠編『貴族院多額納税者名鑑』太洋堂出版部、1926年。
人事興信所編『人事興信録 第9版』人事興信所、1931年。
* 交詢社編『日本紳士録 第35版附録』交詢社、1931年。

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