海山太郎 (2代)

海山太郎

海山太郎（かいざん たろう）は、1869年9月10日に土佐国土佐郡比島（現在の高知県高知市比島）で生まれた大相撲力士です。本名は笠井兎之助（かさいとのすけ）で、友綱部屋に所属していました。身長173cm、体重99kgという体格を持ち、特にその怪力で知られ、多くの相撲ファンから愛されました。

生い立ちと相撲への道

彼は板垣退助からの指導を受けて、高知市の板垣邸内の角力場で稽古を始めました。その後、大坂相撲の猪名川部屋に入門し、四股名として「鏡川」を名乗ります。1890年に板垣の推薦で東京の友綱部屋に移籍し、序二段付出として最初のキャリアをスタートさせました。

当初は鏡川を名乗っていましたが、幾つかの昇進を経て、初代海山太郎が引退したため、二代目海山を継ぐことになりました。1893年5月場所で新十両、1894年1月場所で新入幕を果たし、短期間で特異なスピード出世を遂げました。彼の名はすぐに広まり、特に1897年の新関脇としての活躍が目立ちます。

怪力の名声

海山太郎はその怪力を背景に多くの記録を残しました。彼は1897年1月の場所で、横綱小錦を相手に勝利するなど、インパクトのある対戦を繰り広げました。また、常陸山との戦いでは、傑出したパフォーマンスで知られており、相撲史にも残る名勝負とされる1901年5月の対戦がありました。「怪力海山」という異名も、その力強さを象徴しています。

多くの伝説が存在し、例えばある宴会では外国人から日本の力士の強さを示すために、片手で大きな外国人を持ち上げたというエピソードがあります。

引退とその後の影響

海山太郎は1909年1月場所を全休した後、現役を引退し、年寄名として第5代二所ノ関軍右衛門を襲名しました。その後、友綱部屋から独立し、二所ノ関部屋を設立しました。彼は相撲協会で検査役や理事を歴任し、大正時代の相撲界を支える重要な役割を果たしました。

彼の弟子には第32代横綱・玉錦もおり、その後の二所ノ関部屋は多くの力士を育成しました。特に、二所ノ関部屋では共同の稽古場を使用していたため、大部屋から預かりとなる力士もいました。市井での相撲の人気を支える一翼を担った海山太郎の活動は、今日の相撲界にも影響を及ぼしています。

晩年

1922年には故郷の高知市比島にある神社に鳥居を奉納し、1931年には弟子の玉錦が大関に昇進するなど、彼の教えを受けた者たちが大きな成功を収めていくこととなります。残念ながら、海山太郎は1931年6月6日に胃癌により亡くなりました。彼の葬儀は多くの弟子や関係者に見送られ、墨田区の清雄寺に埋葬されています。

海山太郎はただの力士ではなく、相撲の発展に多大な功績を残した存在でした。彼の四股名は後世にわたっても二所ノ関部屋の出世名として受け継がれ、多くの力士たちによって名が残されています。相撲界の歴史の中で、彼の存在は決して忘れられることのない影響を与え続けています。

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