海底二万里

海底二万里の概要

『海底二万里』（かいていにまんり、仏：Vingt mille lieues sous les mers）は、1870年にジュール・ヴェルヌによって発表された冒険小説です。本作は、先進的な潜水艦ノーチラス号を舞台にした壮大な海洋冒険を描いています。

ストーリーの紹介

物語は、海洋生物学者であるピエール・アロナックスが、助手のコンセイユ、そして名手の銛打ちネッド・ランドと共に、謎の怪物の出現による海難事故の調査に赴くところから始まります。この怪物は、海中で多くの船舶を襲い、大きな危険をもたらしていました。アロナックスたちはアメリカ軍の艦船「エイブラハム・リンカン号」で調査を進めますが、突如として怪物の襲撃を受けてしまい、三人は海に投げ出されます。

幸運にも彼らは、ノーチラス号の甲板に救助されます。ノーチラス号は、ネモと自称する神秘的な船長が指揮する最新鋭の潜水艦で、彼らは捕虜として扱われつつも、ネモの仲間たちと共に海の世界を探索する旅が始まります。

海の冒険

アロナックスたちは、自然の偉大さを体感しつつ、さまざまな海の景観や生物を目の当たりにします。紅海の美しいサンゴ礁や、沈没したアトランティスの遺跡、さらにはビーゴ湾での海戦の残骸など、彼らの旅には驚きの連続が待ち受けています。

しかし、ノーチラス号の船長ネモは非常に謎めいた人物であり、彼の過去には隠された痛みがあることが次第に明らかになっていきます。ネモはどこかの国でひどい迫害を受け、その復讐を果たすために海中に隠れているようでした。彼の複雑な性格は、時には優しさを見せる一方で、冷酷さも持ち合わせています。

脱出の試み

物語の中で、ノーチラス号は国籍不明の軍艦から攻撃を受け、ネモはその艦を撃沈します。これがきっかけで、アロナックスたちは再びネモの意図に対して疑念を抱くようになります。特にネッドは、ノーチラス号からの脱出を志し、彼らは艦が極めて危険な「魔の大渦」に巻き込まれた際に、逃げ出すことに成功します。

主要キャラクター

• - ピエール・アロナックス: 物語の語り手であり、海洋生物学者。知的で社交的な彼は、冒険を通じて様々な知見を得ていく。
• - コンセイユ: アロナックスの忠実な助手で、豊かな知識を持つものの同定能力に欠ける。
• - ネッド・ランド: 銛打ちの名手で、気性が激しく正義感の強い性格。
• - ネモ船長: 謎めいた指揮官で、深海の世界を愛し、地上の社会からは距離を置いている。

作品の影響

この作品は、ヴェルヌの見聞と創作が融合した生き生きとした海洋描写が特徴的で、読者を魅了します。また、ノーチラス号の概念は当時の技術革新の影響を受けており、その後の潜水艦技術に影響を与えました。ヴェルヌは、1867年のパリ万国博覧会や水族館での経験を通じて、海底の物語を執筆するインスピレーションを得たとされています。

言語と翻訳

本作は「海底二万里」という訳で広く知られていますが、英語版や他の言語においても多様な表現があります。日本では、タイトルの単位をマイルに置き換えた“海底二万マイル”といった表記も見られます。

この作品は数度の映画化やアニメ化もされており、特にディズニーの映画は広く知られています。多くの読者に愛され続けている『海底二万里』は、海洋冒険の古典としての地位を確立しています。

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