海底人8823

海底人8823について

『海底人8823』は、1960年1月3日から6月28日までフジテレビ系列で放送された特撮テレビ番組です。製作は大映テレビ室で、宮本製菓（現：カンロ）が一社提供を行っていました。この番組は、毎週日曜日の18:15から18:45まで放送され、関東地方では第15話から火曜日に移動しましたが、近畿地方では時間帯がそのまま維持されました。

概要

この作品の原作と脚本は、当時ノンフィクションライターとして活動していた黒沼健が担当しています。黒沼は、海底に沈んだ大陸や特異な音波を発する笛といった科学的要素を取り入れ、斬新な設定を創り上げました。当時、科学性を前面に押し出した作品は珍しく、視聴者に新たな体験を提供しました。さらに、既存のドラマの枠組みを超えたストーリー展開や演出は、大映テレビの特色とも言えます。

また、物語の中には海底の先住民族など、黒沼が1958年に発表した小説『黒い炎』からの影響が見受けられます。この小説は本作品の実質的な原作ともされ、力強いストーリーの構築に寄与しています。さらに、作品は九里一平によって漫画化され、少年誌で連載されることとなりましたが、そこでの8823のデザインは原作とは異なるものでした。

ストーリー

物語は、両親を亡くした中学生・勇が主人公です。彼は及川博士の養子として箱根で生活しており、ある日、芦ノ湖畔で流星群の中に倒れている奇妙な男性を発見します。その男性は海底人・エルデ10008823と名乗り、勇にお礼として特別な笛を贈ります。この笛は人間には聞こえない音波を発し、勇が危機に直面すると8823が駆けつける仕組みになっています。8823は、及川博士が取り組む研究を妨害しようとするブラックスター団の悪党たちと戦います。

8823の正体

海底人8823は、彗星ツイフォンの接近によって海底エルデ大陸が沈んだ過去を持ち、本名をエルデ10008823といいますが、周囲からは通称「はやぶさ」と呼ばれています。彼は特殊な光線銃を武器として持ち、相手の脳神経に激痛を与えて気絶させる能力を持っています。8823は、自らと同じ姿をした機械の分身を使って偵察を行い、任務を終えた後は海底へと帰還します。

キャスト

番組には多彩なキャストが登場し、勇を演じたのは岩井雅（劇団ひまわり）、及川博士役は斉藤清末、それに及川夫人や勇の友達など多くのキャラクターが物語を盛り上げていました。

放送と反響

この作品は、近畿地方でも70年代に再放送が行われ、さらに関西テレビでも再放送されるなどその人気は続きました。映像も1995年以前からビデオソフトとして販売され、2000年には傑作選が発売、2018年には全話収録のDVDボックスが発売されるなど、時代を超えて愛される名作です。

影響と同名作品

音楽や漫画など多方面に影響を与えたり、後の作品にオマージュされたりすることも多く、スピッツの楽曲『8823』がその一例として挙げられます。また、1977年には漫画家の西岸良平が同名の作品を発表しましたが、その内容はオリジナルのものでした。

結論

『海底人8823』は、科学と冒険を融合させた魅力的な作品であり、今もなお多くのファンに愛されています。特撮番組の草分けとしての地位を築いたこの作品は、特撮ファンやコレクターにとって常に興味をそそる存在です。

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