海洋 (人工衛星)

中国の海洋観測衛星「海洋（Haiyang, HY）」シリーズ

「海洋（Haiyang, HY）」は、中国国家海洋局（SOA）の国家衛星海洋応用センターが運用する、海洋観測を目的とした一連の人工衛星シリーズです。このシリーズは、風雲気象衛星や資源衛星と共に、長期にわたり安定した観測データを提供するための重要なシステムとして位置づけられています。

当初の計画では、「海洋1号」を4機、「海洋2号」を1機、合計5機の打ち上げが予定されていました。その後、陸海観測衛星業務発展計画に基づき、2020年までに「海洋1号」4機、「海洋2号」2機、「海洋3号」2機の、合計8機が打ち上げられる予定に変更されました。

海洋1号（HY-1, 海洋水色衛星）

「海洋1号」は、CAST968衛星バスをベースにした最初の遠隔探査衛星で、ボックス型の小型衛星です。重量は365kg、設計寿命は2年とされています。中国航天科技集団公司が開発を担当し、同型のセンサーを搭載した「1号A」と「1号B」の2機が、7日間の回帰日数を持つ太陽同期準回帰軌道に投入されました。

「海洋1号」には、OCTS（中分解能スペクトル放射計）とCZI（可視赤外イメージング放射計）が搭載されており、主に中国近海の海洋資源や環境の観測、海洋災害の予防などに利用されています。

「海洋1号A」は2002年5月15日に、「海洋1号B」は2007年4月11日に打ち上げられました。「海洋1号A」は設計寿命をやや早く、2004年4月に運用を終了しました（運用期間は685日間）。

搭載観測機器:

COCTS（China Ocean Colour & Temperature Scanner） - 中分解能スペクトル放射計
CZI（Coastal Zone Imager） - 可視赤外イメージング放射計

海洋2号（HY-2, 海洋動力環境衛星）

「海洋2号」は、海面の風向、波、海洋の流れなどを総合的に観測できる次世代の衛星です。2007年の会議で研究開発段階に入ったことが発表され、海洋環境のモニタリングや調査、海洋災害の予報・警報、海洋科学研究、海洋環境予報、地球規模の気候変動研究への貢献が期待されています。中国航天科技集団公司所属の中国空間技術研究院が開発し、国家海洋局が運用します。

「海洋2号A」は重量1.5トン、設計寿命は3年で、MWI（マイクロ波マルチチャンネル放射計）、ALT（二周波レーダー高度計）、KU-RFSCAT（Kuバンドレーダー散乱計）の3種類の観測機器を搭載しています。2011年8月15日、太原衛星発射センターから長征4号によって打ち上げられ、14日の回帰日数を持つ太陽同期軌道に投入されました。

また、「海洋2号A」は中国初の衛星レーザー通信装置を搭載し、2011年11月にこの装置を用いたデータ送信に成功しました。

搭載観測機器:

MWRI（Microwave Radiometer Imager） - 直下観測マイクロ波マルチチャンネル放射計
ALT（Radar Altimeter） - 2周波レーダー高度計
KU-RFSCAT（Ku-band Rotational Fan-beam Scatterometer） - ペンシルビーム・コニカルスキャン・レーダー散乱計
DORIS（Doppler Orbitography and Radiopositioning Integrated by Satellite） - 衛星測位システム
LRA（Laser Retroreflector Array） - レーザ反射アレイ

海洋3号（HY-3, 海洋監視観測衛星）

「海洋3号」は、合成開口レーダー（SAR）を搭載した衛星です。2015年に打ち上げられた高分3号で実証された技術が応用されています。主なミッションは、数値標高モデル（DEM）の作成や地殻変動のモニタリングで、「海洋2号」と連携して海面高度の測定も行います。「海洋3号」は2019年に打ち上げられる予定です。



脚注

参考文献

海洋1号A eoPortal Directory
海洋1号B eoPortal Directory
海洋2号A eoPortal Directory

外部リンク

* 国家海洋局

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