海王丸 (初代)

海王丸（かいおうまる）の概要

海王丸は日本の航海練習船として1930年に完成した大型帆船です。その美しい姿から「海の貴婦人」と称され、多くの人々に愛され続けてきました。海王丸は、富山県射水市の「みなとオアシス海王丸パーク」に展示され、一般公開されています。ここでは、多くの訓練生が育った海王丸の歴史や役割について詳しく見ていきます。

船歴の始まり

海王丸の誕生の背景には、1927年に発生した練習船の沈没事故がありました。この惨事を受け、日本政府は大型練習帆船の建造を決定しました。その結果、1928年には日本丸と海王丸の2隻が建造されることとなりました。国からの支援を受けて、神戸の川崎造船所で設計・建造が行われました。海王丸は1930年2月14日に進水し、その後ミクロネシアのトラック島への航海を含む多くの訓練航海を行いました。

太平洋戦争とその後

しかし、1943年に戦争が激化すると、海王丸は帆装を取り外し、石炭輸送任務に従事することとなります。戦後は復員船としても利用され、特に27,000人もの引揚者の輸送に貢献しました。その後の1955年には、帆装が復元され、海の貴婦人としての姿を取り戻しました。この時から数多くの遠洋航海や国際イベントにも参加し続けました。

引退と保存

1989年に、海王丸はその役割を終え、引退します。引退後は日本各地から保存の要望があり、最終的に富山県と大阪市の共同管理により、新湊地区で係留されることとなりました。1990年から一般公開が始まり、1992年には専用の展示施設である海王丸パークが開場しました。

海王丸パークの魅力

海王丸が展示されている海王丸パークでは、毎月のように帆を全て展げる「総帆展帆」イベントや、非公開のエンジンルーム見学会などが行われ、多くの観光客が訪れます。公園内には飲食店や売店もあり、地域の観光地としても親しまれています。また、海王丸の進水日がバレンタインデーであることから、恋人の聖地としても有名です。

デザインと技術

海王丸は4檣バーク型帆船であり、メインマストの高さは46メートル、総帆数は29枚です。また、ディーゼル機関も搭載されており、機走も可能です。このような設計により、海王丸は教育的な航海だけでなく、多様な海洋活動にも対応できる特徴があります。

文化的影響

海王丸は映画やアニメなど様々なメディアにも登場しており、特に映画『八十日間世界一周』ではその姿が確認できます。また、アニメ『神のみぞ知るセカイ』の舞台としても使われています。

交通アクセスと入園情報

海王丸パークへの交通は、北陸自動車道を利用するのが便利です。また、入園は無料ですが、海王丸内部に入る際は400円の入園料が必要です。訪れる際には、事前にイベント情報をチェックしておくと良いでしょう。

海王丸は、長い航海の歴史を持つ美しい船であり、今もなお多くの人々に感動を与えています。

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