海王丸 (2代)

海王丸II世

概要

海王丸（かいおうまる）は、独立行政法人海技教育機構が運航する航海練習船であり、1989年に就航した海王丸II世がその二代目です。この船は、日本丸とともに日本を代表する大型帆船として知られています。外見は日本丸に似ているものの、発電機や主機、救命艇、プロペラ等の設計には異なる点があります。

船歴

初代海王丸の後を継いで、1989年に全通船楼甲板船として就航した海王丸II世は、先代に比べてサイズが拡大し、また日本丸II世で培われた建造技術がさらに進化しました。特に、帆走時に抵抗を減少させるために可変ピッチプロペラが採用されており、プロペラの迎え角を水流に平行に調整するフェザリング機能が備わっています。この技術により、海王丸II世は日本丸II世を上回る帆走性能を獲得しました。

その実績として、1990年から1995年までの間に「ボストン・ティーポットトロフィー」を4回受賞し、特に1995年には124時間で1394マイルを帆走する記録を樹立しています。なお、海王丸II世は国有ではなく、民間からの寄付によって建造されました。また、公益財団法人海技教育財団が所有し、海技教育機構によって運航されています。一般社会人向けの体験航海や遠洋航海コースも企画されていますが、実習生の参加数によって一般募集の枠が制限されることがあります。

外観の違いについては、日本丸II世との区別があります。これには船首像、船体のライン数、救命艇の形状、後部フード（舵輪の屋根）のデザインが含まれます。

座礁事故

2004年10月20日、海王丸II世は台風23号を避けるため伏木富山港沖で錨泊していましたが、暴風により走錨し、港の防波堤に座礁しました。この事故では、167名が乗船しており、救助作業は翌日8時45分から開始され、全員が無事に救助されましたが、30名が負傷しました。地元の船が避難行動を取らなかったことや、海上保安庁が避難勧告を出していたこともあって、この時の船長は判断ミスを認めています。

座礁後、海王丸II世は約35日間そのままでしたが、11月24日にクレーン船によって救援され、修理のために近くの新日本海重工業造船所に曳航されました。船底には130箇所もの損傷があり、修理は長引きましたが、2005年4月には仮修理が完了し、その後本格的な修理作業がIHI横浜工場で行われました。約4割の鋼材が交換され、2006年1月5日に修理作業が終了しました。

海王丸パークには、初代海王丸が係留されており、2006年7月15日に海王丸II世が寄港することで、初めて両船が揃うことになりました。

設計

海王丸II世は4檣バーク型の帆船で、主な特徴の一つには、メインマストの高さが43.5メートル、総帆数は36枚で、総面積は2760平方メートルに達します。これにより、海王丸II世は優れた帆走能力を発揮しています。

まとめ

海王丸II世は、その歴史や帆走性能の高さから、日本の海洋教育において重要な役割を果たしており、体験航海を通じて多くの人々に海の魅力を伝えています。

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