海神神社

海神神社の概要

海神神社（和多都美神社）は、長崎県対馬市峰町木坂に位置する神社で、地域の信仰の中心となっている場所です。この神社は、式内社として名を馳せ、対馬国の一宮でもあります。旧社格は国幣中社ですが、現在は神社本庁に所属する別表神社としてその伝統を守っています。

主祭神と歴史

この神社の主祭神は豊玉姫命で、配祀神として彦火火出見命、宗像神、道主貴神、鵜茅草葺不合命が祀られています。興味深いことに、江戸時代までは八幡神を祭っていました。神社の設立にまつわる伝説として、神功皇后が三韓征伐からの帰路に新羅を鎮めるために納めた旗に由来しています。この旗は後に当地の木板山に移され、木坂八幡宮と呼ばれるようになりました。また、仁徳天皇の時代には木坂山の奇雲烈風が敵艦を沈めたという伝説も残されています。

中世以降は、地域を二分する八幡信仰があり、明治3年（1870年）には和多都美神社に改称、さらに明治4年には豊玉姫命を主祭神とする形で海神神社と改名されました。このように、神社の名称と祭神の変遷には周囲の歴史や信仰の変化が反映されています。

境内と民俗

海神神社の境内には、かつて存在した弥勒堂があったとされ、その跡は神宮寺として機能していたとも言われています。社殿は1921年に建設され、現在も多くの参拝者に親しまれています。神社の南側にある集落では、穢れを忌む文化が強く、出産時には女性が神社の南側に移り小屋で産む風習が残っていました。こうした習慣は、地域の信仰や文化と深く結びついています。

北側には伊豆山と呼ばれる神々しい山があり、地元住民からは神聖視されています。旧6月の午の日にはヤクマの祭りが行われ、伊豆山を向いて拝む儀式が行われています。この祭りは元々、太陽を拝む天道の祭りであり、麦の収穫の感謝を表すものでした。

信仰の変遷と文化財

海神神社では、八幡神を祀ることが母子神信仰に根ざしており、太陽によって授かる子供を神として祭る信仰が広がっています。母子神信仰は日本神話にも影響を受け、豊玉姫命や鵜茅草葺不合命とも深い繋がりを持っています。天道信仰や自然崇拝が融合し、やがて歴史上の人物が祭神として崇められるようになりました。

この神社には、国指定の重要文化財である銅造如来立像があり、その制作は統一新羅時代に遡ります。しかし、2012年には対馬仏像盗難事件という衝撃的な出来事があり、この像も韓国に持ち去られました。数年にわたり返還問題が続いた結果、2015年に韓国検察が海神神社を正当な権利者と認定し、無事に返還されました。返還された像は一部が損傷していましたが、無事に戻ってきたことが感謝されました。

現在の海神神社

海神神社は、長崎県対馬市峰町木坂247に位置し、周囲には峰町歴史民俗資料館などの関連施設も存在します。この神社は地域の文化・信仰の中心として、今なお多くの人々に愛され続けています。

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