海軍通信学校

海軍通信学校

海軍通信学校は、大日本帝国[[海軍]]が無線通信技術者を育成するために設立した教育機関です。この学校では、無線通信に関する専門知識と技術を、将校から下士官、兵に至るまで幅広い階層の軍人に教育していました。

沿革

日本海軍における無線通信の利用は、明治時代に始まり、日露戦争の頃には実用段階に達していました。当初、無線通信技術者の育成は1903年に海軍水雷学校で開始されました。その後、1918年に水雷学校内に電信部が設立され、無線通信部門の拡大に伴い、専門の教育機関が必要となりました。

1930年、海軍通信学校が独立し、専門の術科学校としての役割を担うことになります。しかし、無線技術の急速な発展と軍事利用の重要性が増したため、施設の拡充が必要となり、1939年に神奈川県横須賀市久比里へ移転しました。太平洋戦争が始まると、通信科の需要が急増し、従来の教育施設だけでは対応できなくなったため、1943年には山口県防府市に海軍防府通信学校が新設されました。これに伴い、従来の通信学校は海軍横須賀通信学校と改称されました。

海軍は、欧米列強に比べてレーダー技術で遅れをとっていましたが、その重要性が認識されるにつれて、各種レーダーが艦船に配備されるようになりました。これらの電測機器を操作する要員の育成も横須賀通信学校で行われていましたが、1944年には、電測専門の教育機関として海軍電測学校が独立しました。

1945年、大東亜戦争の終結により、帝国海軍が解体されたため、海軍通信学校は廃止されました。戦後、跡地は陸上自衛隊に移管され、現在は久里浜駐屯地・陸自通信学校となっています。海上自衛隊では、本校の教育範囲は、同じ横須賀市の第2術科学校と、広島県江田島市の第1術科学校に引き継がれています。

教育制度

海軍通信学校では、以下のような教育課程が設けられていました。

高等科学生：准士官以上を対象とした、通信長に必要な学術技能を訓練する課程
普通科学生：中少尉および少尉候補生を対象とした、必要な素養を訓練する課程
特修科学生：佐尉官のうち、高等科学生課程を経ていない者に対して、高度な電信術を訓練する課程
専攻科学生：高等科学生課程修了者のうち、特に無線技術の研究に従事する者を選抜する課程
高等科練習生：下士官および一等兵を対象とした、無線通信に専従する要員を育成する課程
普通科練習生：志願兵および少年兵を対象とした、無線通信に専従する要員を育成する課程
特修科練習生：高等科練習生修了者のうち、特に優秀な者を対象とした、更に高度な技術訓練を行う課程
暗号術練習生：第二次大戦中に設けられた、暗号術を訓練する課程


高等科および普通科電信術練習生の課程を修了すると、希望者には逓信省から無線通信士の資格が与えられ、退役後の就職に有利となるような措置が講じられました。

太平洋戦争開戦後、通信兵の需要が増大したため、1944年には、無線電信講習所の修了者を対象とした海軍予備練習生の制度が導入され、彼らの訓練も通信学校で行われました。

歴代校長

横須賀通信学校

細萱戊子郎 少将：1936年12月1日 - 1937年12月1日
牧田覚三郎 少将：1937年12月1日 - 1939年11月15日
山口儀三郎 少将：1939年11月15日 - 1941年10月10日
降幡敏 予備役中将：1941年10月10日 - 1943年3月10日
宇垣完爾 中将：1943年3月10日 - 1943年9月16日
志摩清英 中将：1943年9月16日 - 1944年2月15日
河野千万城 少将：1944年2月15日 - 1945年7月15日

防府通信学校

黒瀬浩 少将：1943年5月1日 - 1944年8月15日
牛尾藤雅 少将：1944年8月15日 - 1945年7月15日
木村昌福 少将：1945年7月15日 - 1945年10月1日

参考文献

五十周年記念海軍電波関係追悼集 第一号 (電波関係物故者顕彰慰霊会、昭和30年10月、山本英輔他共著、非売品)
海軍通信学校令　昭和5年5月29日勅令104号、国立公文書館所蔵
電気通信大学六十年史（電気通信大学六十周年史編集実行委員会編）

関連項目

軍隊における階級呼称一覧
海軍
柳澤蔵之助（海軍大尉時代の1925年（大正14年）12月1日-1926年（大正15年）11月27日- 海軍通信学校高等科学生の課程に在籍）

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