海部川

海部川について

海部川は、徳島県海部郡海陽町を流れる二級河川であり、二級水系海部川の本流です。環境省の調査によると、全国で最も水がきれいな川36本の一つに選ばれています。その美しい清流は、多くの人々を魅了し、豊かな自然環境を育んでいます。

地理

海部川の源流は、高知県境に近い湯桶丸（標高1,372メートル）の東面、槙木屋谷（轟山）にあります。そこから南東方向に流れ、全長36kmを経て紀伊水道へと注ぎ込みます。上流部は、年間降雨量が3,000mmにも達する多雨地域であり、豊かな森林が広がっています。この地域は、「水源の森百選」、「平成の名水百選」、「四国のみずべ八十八カ所」、「とくしま水紀行50選」にも選ばれており、その水質の高さが伺えます。

かつて林業で栄えたこの地域は、開発の影響をほとんど受けておらず、ダムもない自然のままの川の流れが保たれています。そのため、川の水で野点をするほど清らかで、豊かな植生と多様な水生生物が生息しています。天然のヒラテナガエビ、アユ、アメゴ、ウナギなど、貴重な生物の宝庫であり、山のミネラルがそのまま海へと流れ込む、日本でも数少ない自然河川です。

景勝地とアクティビティ

海部川には、三間岩の淵や轟の滝（日本の滝百選）など、美しい景勝地が点在しています。また、河口はサーフィンの名所としても知られ、多くのサーファーが訪れます。これらの自然に魅せられ、移住してくる人もいるほどです。上流部には徳島県道148号中部山渓轟公園線が、中流から下流には国道193号が並行しており、アクセスも比較的容易です。特に河口部のカイフポイントは、日本有数のサーフスポットとして有名で、全国からサーファーが集まります。

支流

海部川には、以下の支流があります。

母川
王余魚谷川

流域の自治体

海部川の流域には、以下の自治体があります。

徳島県
海部郡海陽町

自然景勝地

* 轟の滝（轟神社）: 支流の王餘魚谷川流域にあります。

徳島・海陽 究極の清流 海部川 風流マラソン

海陽町では、2009年から2022年まで毎年2月に「徳島・海陽 究極の清流 海部川 風流（ふる）マラソン」が開催されていました。これは、海部川沿いを走る42.195kmのフルマラソンで、海部川の風景や自然を楽しみながら走れるコースでした。コースは、まぜのおか - 町海部庁舎 - 海部川上流地域 - 小川樫ノ瀬折り返しで構成されていました。

しかし、2022年6月13日に海陽町議会で、新型コロナ対策による開催費用の増加やボランティアの高齢化による人員確保の困難さを理由に、このマラソン大会は終了することになりました。このコースは、県内で4つ目の日本陸上競技連盟公認コースであり、海陽町は同ルートで四国駅伝の誘致も計画しています。徳島県内では、他にもとくしまマラソン（4月、徳島市など）、南阿波サンライン黒潮マラソン（11月、牟岐町）が開催されています。

海部川は、その清らかな水と豊かな自然が織りなす美しい景観、そして、そこに暮らす人々の生活を支えるかけがえのない存在です。

もう一度検索