海部氏

海部氏について

日本の歴史には、海部氏（かいふしおよびあまべうじ）として知られる二つの著名な氏族が存在します。これらの氏族はそれぞれ異なる地域で活躍し、多様な歴史的背景を持っています。

阿波海部氏

阿波海部氏（かいふし）は、阿波国海部郡を拠点にした武士の家系です。この一族は古代の豪族である宍昨別の子孫とも言われており、また藤原氏の系統に連なるともいわれています。何世代にもわたって海部郡司の地位を受け継ぎ、地域の政治や軍事において重要な役割を果たしてきました。

室町時代に入り、阿波海部氏は吉野城を本拠地として、当時の守護であった細川氏に仕官し、さらに三好氏との婚姻によって一層関係を深めました。しかし、1582年、天正10年に海部友光が隣国の土佐国の武将、長宗我部元親による攻撃を受け、没落しました。この出来事は、阿波海部氏にとっての転機となり、大きな歴史的影響を与えることとなりました。

主な人物

• - 海部友光：阿波海部氏の当主であり、武勇と智謀を兼ね備えた武士として知られています。彼の死後、家系は衰退していきました。
• - 若狭国海部氏：阿波海部氏と関連があるとされる別の系統。
• - 丹波国海部氏：さらに別の海部氏の系譜で、後にご紹介します。

丹波海部氏

一方、海部氏（あまべうじ）は、京都府宮津市に位置する籠神社の社家を長らく務めてきた一族です。彼らは丹後国で海部を管掌した海氏（あまうじ）という氏族の末裔とされています。これは、古代から続く神社の歴史の中で、神職という重要な役割を果たしてきたことを意味します。

丹後国の一宮である籠神社では、家系を世襲的に継承しており、彦火明命を祖神とする神別氏族です。この一族は尾張氏とも血縁関係があるとされ、丹波国造の系統に属しています。また、丹波国造大倉岐命の孫であり、応神朝において海部を賜った佐布古直がその起源とされています。

海部氏系図

海部氏の系譜は非常に重要であり、国宝に指定されている「海部氏系図」が存在します。この系図は、祖神から第32世当主に至るまでの家系を詳細に伝えています。このように、丹波海部氏は、その家系の歴史を重んじており、自身を丹波国造家と称しています。

関連項目

• - 籠神社：丹後国に位置する一宮で、海部氏が長年にわたり社家を担っています。
• - 海部氏系図：海部氏の系譜を記した貴重な文献です。

参考文献

• - 三好昭一郎「海部氏」（『徳島県百科事典』（徳島新聞社、1981年））
• - “海部氏系図Ａ｜米子（西伯耆）・山陰の古代史”. 2019年10月9日閲覧。

海部氏はそれぞれの地域で各々異なる役割を果たし、貴族や武士としての地位を築いてきました。その歴史は日本の氏族制度や政治の変遷を考える上でも重要な要素となっています。

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