尾張氏

尾張氏の解説

尾張氏（おわりうじ）は、日本の歴史において重要な役割を果たした氏族で、「尾張」を名前に持つ一族です。彼らの起源は、『日本書紀』によれば天火明命（あめのほあかりのみこと）を祖神とし、天忍人命に遡るとされています。尾張氏は美濃や飛騨の地域に拠点を持っていましたが、後に乎止与命の時代に尾張国の国造に任命されました。日本武尊（やまとたけるのみこと）の時代には、拠点を熱田の近くに移動し、ここで多くの歴史的な出来事が展開されました。

尾張氏の中でも特に注目すべきは、宮簀媛が日本武尊の妻となり、草薙神剣を熱田に祀ったことです。尾張宿彌の子孫は代々熱田神宮の大宮司を務め、その後継者は多くの神職や豪族と関わりを持ちました。具体的には、熱田神宮の大内人家や、権宮司、八剣宮祠官などの役職を持つ守部宿彌、さらには馬場氏や田島氏といった著名な家系が存在します。

尾張氏と天皇の関係

ビジュアル的には複雑ですが、尾張氏は畿内の政権との密接な関係があり、『日本書紀』によれば彼らは天皇としばしば結びついており、后妃を輩出したことで知られています。尾張氏の祖先である奥津余曾の妹、余曾多本毘売命（世襲足媛）は、第5代孝昭天皇の妃となり、彼女の子は第6代孝安天皇に即位しました。また、第10代崇神天皇には、尾張大海媛が妃として迎えられ、さらなる結びつきが形成されました。

尾張国造の乎止与命の子、建稲種命は、日本武尊の東征に随行し、戦功を上げました。彼の妹ミヤズヒメは、東征の途中に尾張で日本武尊と結婚し、草薙剣を奉納して熱田社を創建しました。この子孫たちは、応神朝や仁徳朝の大臣としても活躍しました。特に尾張意乎己は仁徳天皇時代の大臣として知られています。

第26代継体天皇が大和に入るまでの正妻である目子媛は尾張連草香の娘であり、彼女から生まれた勾大兄皇子は第27代安閑天皇に、檜隈高田皇子は第28代宣化天皇に即位しました。さらに第30代敏達天皇と皇后額田部皇女の間にも、尾張皇子が誕生しています。

壬申の乱と尾張氏

壬申の乱においては、尾張氏は海部氏に支援を行い、大海人皇子への資金提供や私邸の提供などで貢献しました。この結果、大海人皇子が第40代天武天皇に即位し、尾張氏の功績として名を馳せました。持統天皇10年（696年）には、尾張宿禰大隅が位階と土地を授けられた記事が記録されています。これもまた、壬申の乱での彼らの貢献を証明するものです。

尾張氏の別系統

日本には尾張姓を名乗る一族が他にも存在し、因幡国の尾張氏は特筆すべき存在です。彼らは平安時代末期には勢力を増し、佐治氏や曳田氏が開発領主として名を馳せました。特に、佐治重貞は鎌倉幕府の御家人として和田合戦に参加し、地頭職に任じられたことが記録されています。一般的に、尾張氏の本流に関する情報は限られていますが、因幡の尾張氏は地域における重要な存在でした。

関連項目

尾張氏に関連する項目には、尾張国、尾張国造、断夫山古墳、熱田神宮、尾張戸神社、住吉大社、津守氏、守部、尾張部、高倉下、布都御魂などがあります。これらの項目は、尾張氏の歴史や文化を理解する上で重要な要素となっています。

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