海野徹 (那珂市長)

海野 徹

1949年（昭和24年）6月10日生まれ。日本の政治家として、主に茨城県那珂市で活躍した人物です。那珂市の市長を2期にわたり務めたほか、同市の市議会議員、市となる前の那珂町の町議会議員としても地方政治に携わりました。

生涯と経歴

茨城県那珂郡木崎村、現在の那珂市北酒出にあたる地で生を受けました。県立太田第一高等学校を経て、専修大学法学部法律学科で学びました。大学卒業後は伊勢甚百貨店に勤務し、その後は木材関連の事業に携わっています。

政治家としてのキャリアは、2004年の那珂町議会議員選挙で初めて議席を得たことから始まりました。翌2005年1月21日には、那珂町が瓜連町と合併し、市制を施行して那珂市が誕生します。那珂市となった後の2008年2月24日に行われた市議会議員選挙でも当選し、引き続き市政に関与しました。

那珂市長時代

那珂市政の運営に対する懸念から、海野氏は市長選挙への出馬を決意します。2010年9月の議会で、当時の市長であった小宅近昭氏の答弁に対し、「大きな危惧」を抱いたことがきっかけでした。翌年1月に予定されていた市長選挙が無投票となる可能性が高まる中、同年11月末に市議を辞職し、立候補に向けた準備に着手しました。

2011年1月30日に実施された市長選挙では、現職の小宅氏との一対一の争いを制し、初当選を果たしました。この選挙での得票数は海野氏が12,414票、小宅氏が10,485票でした。投票率は50.77％。同年2月13日に市長の職に就任しました。

2015年には、再び那珂市長選挙で勝利し、2期目の市政を担うこととなりました。

主な政策と主張

市長在任中、特に注目された政策として、常設型の住民投票条例案の制定を目指したことが挙げられます。これは2015年に提案され、市の重要事項について市民や議会の請求、または市長の発議により住民投票を行えるようにするものでした。東海第二原発の再稼働問題など、喫緊の課題に対する市民意思の反映を求める声に応える動きでしたが、2015年12月11日の市議会本会議では賛成10、反対11の僅差で否決されました。この条例案では18歳以上の市民や市内の永住外国人が投票資格を持つとされていましたが、案件ごとに議会の議決や同意を要しない規定があったため、「議会制民主主義を否定する」「多額の費用（約1300万円）がかかる投票を議決なしで行うのか」といった批判が出されました。海野氏は否決後、「非常に残念」としつつ、市議選の結果を見ながら再提案の意向を示しました。

また、40年の運転期限が迫っていた東海第二原発についても明確な立場を示しました。2018年10月22日には、「事故が発生した場合、那珂市は立地自治体以上の被害を受ける可能性がある。再稼働には反対だ」と述べ、早期の廃炉を強く求めました。

市長引退とその後

2期目の任期満了を前に、2018年11月12日に翌2019年に予定されていた那珂市長選挙には出馬せず、政界からの引退意向を表明しました。

しかし、2019年4月25日には、同年夏の第25回参議院議員通常選挙に「原発再稼働反対」の立場から茨城県選挙区で立候補する意向があることを示しました。当初は立憲民主党からの擁立を目指しましたが断られ、無所属での出馬を予定していましたが、6月5日に日本維新の会の公認候補となることが内定しました。7月21日の投開票の結果、候補者5人中の4位となり、当選には至りませんでした。

参議院選挙後、2019年11月30日には日本維新の会参議院茨城県選挙区支部長に再び選任されましたが、2022年7月の第26回参議院議員通常選挙には立候補しませんでした。

不祥事

自身が代表を務める「日本維新の会参議院茨城県選挙区第1支部」の政治資金に関し、2019年6月に党本部から受け取った寄付金300万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが明らかになりました。

栄誉

長年の地方自治への貢献などが認められ、2023年11月3日には、秋の叙勲において旭日小綬章を受章しました。

海野徹氏は、那珂市の地方政治を中心に活動し、特に市民参加の促進や原子力発電所の問題といった重要な地域課題に対して積極的な姿勢を示した政治家でした。

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