消えたローマ兵士の謎

消えたローマ兵士の謎：異文化と怪奇が織りなす物語

『ドクター・フー』シーズン10の第10話「消えたローマ兵士の謎」は、2017年6月17日にBBC Oneで放送された作品です。脚本はローナ・ムンローが担当しました。特筆すべきは、彼女がクラシックシリーズの最終シーズン「Survival」の脚本も手掛けており、新旧シリーズ両方で脚本を担当した唯一の人物であるという点です。

あらすじ

12代目ドクター（演：ピーター・カパルディ）は、コンパニオンのビル・ポッツ（演：パール・マッキー）とナードル（演：マット・ルーカス）と共に、2世紀のスコットランドへタイムトラベルします。目的は、ローマ第9軍団ヒスパナが謎の失踪を遂げた原因を調査すること。ドクターとビルは、それぞれの視点から真相を探ろうとしますが、その過程でビルは第9軍団の生き残りと、ドクターとナードルはピクト人と出会います。

やがて、第9軍団の失踪は、ピクト人によって長年封印されていた「光を食べる」異世界の怪物が、ピクト人の少女カー（演：レベッカ・ベンソン）によって解放されたことが原因だと判明します。

連続性と製作

本作では、ナードルがピクト人たちにメアリー・セレスト号の失踪事件を例に挙げて説明する場面があります。また、台本の読み合わせは2016年10月12日に行われ、同日から11月22日にかけて撮影されました。

脚本

脚本家のローナ・ムンローは、クラシックシリーズと新シリーズの両方で脚本を手掛けた初の人物です。彼女の起用は、モファットがクラシックシリーズの脚本家を起用するという発表から実現しました。

放送と反響

本国でのリアルタイム視聴者数は289万人と、新シリーズ開始以来最低を記録しましたが、タイムシフト視聴者を加算すると473万人まで増加しました。Appreciation Indexは81でした。日本ではHuluでシーズン10の独占配信が開始され、本作も視聴可能です。

批評家の反応

「消えたローマ兵士の謎」は、批評家から概ね肯定的な評価を受けました。

The A.V. Clubのアラスデア・ウィルキンスは、本作をB+と評価し、ムンローの脚本を「政治的事象と人格的事象を上手くミックスさせている」と称賛しました。特にローマ軍の描写と、兵士たちの複雑なキャラクター性を高く評価しています。また、クラシックシリーズへの回帰を感じさせると述べつつも、「奇妙な」エピソードであり、「とてつもなく独特な雰囲気」を持っていると評しました。

TV Fanaticのキャサリン・ウィーデルは、本作に星3.3を与え、ピクト人に打ち解けるナードルや、カラスについて語るドクター、ターディスの自動翻訳機能に気付くビルなど、面白い要素が詰まったエピソードだと評価しました。しかし、ドクターが異世界への門を守るという展開は、多くの視聴者が予想できたと指摘しています。

IGNのスコット・コルーラは、本作を8.3点と評価し、ピクト人とローマ人の脇役が、過去のエピソードのゲストよりも魅力的で改善されていると称賛しました。ビルとルシウスの恋愛や、カーが全てを失った苦痛を抱えているという要素を高く評価し、大袈裟な怪物と独立したエピソード構成が良い方向に作用したと述べています。

ラジオ・タイムズのパトリック・マルケーンは、本作に満点を与え、「美しく書かれている」と述べました。ムンローが神話に物語を適合させたことと、彼女の「作家的な声」が本作の魅力だとし、クラシックシリーズの「Survival」との類似点を指摘しています。また、ビルのキャラクターを称賛し、カパルディの自己犠牲的な演技を絶賛しました。

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