涙色の微笑

「涙色の微笑」（なみだいろのほほえみ）は、原題を「Can't Smile Without You」といい、1978年にバリー・マニロウがカバーして大ヒットしたことで知られる楽曲です。しかし、そのルーツは1961年にニール・セダカが発表した「Smile」という曲にあります。この「Smile」を、カーペンターズがカバーし、「微笑の泉」という邦題で発表しました。

カーペンターズのバージョンは、1976年6月11日にリリースされた7枚目のスタジオアルバム『見つめあう恋』に収録されました。その後、1977年9月9日にはシングル「星空に愛を (Calling Occupants)」のB面にも収録されています。このシングル版では、アルバム収録版とは歌詞が一部変更されている点が特徴です。

1978年1月、バリー・マニロウがシングルA面曲としてこの曲を発表しました。B面には「サンライズ」が収録されています。このマニロウのカバーは、ビルボードのHot 100で、1978年4月22日から5月6日にかけて3週連続で3位を記録する大ヒットとなりました。さらに、ビルボードのイージーリスニングチャートでは1位を獲得し、ゴールドディスクにも輝いています。マニロウがカバーする際にも、歌詞の一部が変更されています。

この曲は、バリー・マニロウやカーペンターズの他にも、エンゲルベルト・フンパーディンク、メンズウェア、イザヴェラ・タヴィアーニといった多くのアーティストによってカバーされています。幅広い世代に愛されるスタンダードナンバーと言えるでしょう。

また、この曲は過去に盗作疑惑で注目を集めたことがあります。1980年代半ばに、音楽出版社のディック・ジェームズ・ミュージックが、ワム!の「ラスト・クリスマス」（1984年）がこの曲の盗作であるとして、作者のジョージ・マイケルを訴えたのです。この訴訟は最終的に示談というかたちで決着しました。しかし、この事件は音楽業界における盗作問題の難しさや、著作権保護の重要性を改めて浮き彫りにする出来事となりました。

「涙色の微笑」は、時代を超えて愛されるメロディーと、様々なアーティストによって彩られてきた歴史を持つ楽曲です。その背景には、オリジナル版、カバー版それぞれの魅力や、盗作疑惑といった騒動も含まれています。これらの要素が合わさって、この曲は単なる懐メロとしてではなく、音楽史を語る上で欠かせない存在となっていると言えるでしょう。

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