深山 (航空機)

深山（しんざん）

深山は、日本海軍が開発した陸上攻撃機であり、設計と製造を手掛けたのは中島飛行機です。この機体は日本海軍初の4発機であり、当時の海軍機の中でも最大の大きさを誇っていました（全長、全幅はB-29に匹敵）。ただし、機体各部に頻繁にトラブルが発生したため、最終的に試作機6機のみで不採用となりました。

開発の背景

1937年、日本とアメリカの間での緊張が高まる中、帝国海軍は長い航続距離を持つ大型陸上攻撃機の開発を決定しました。大日本航空名義でダグラスDC-4Eを輸入し、これを参考にして中島飛行機に「十三試大型陸上攻撃機」の試作を命じました。しかし、DC-4Eはその後の人気輸送機DC-4（C-54）とは異なり、性能面で多くの問題を抱えていました。そのため、商業的にも失敗作と言わざるを得ませんでした。

1941年2月、試作機の第1号が完成し、4月に初飛行を果たしました。この機体は、主翼や降着装置などでDC-4Eと共通点が多いですが、胴体は新たに設計され、主翼が低翼から中翼式に変更され、爆弾倉が胴体内に設けられていました。しかし、搭載したエンジンは予定通りの新型が間に合わず、出力が低い三菱製火星エンジンが使われました。

技術的課題と不採用

試作機は様々な問題を抱えていて、特にその信頼性が低いとされました。また、機体の重さも当初の想定を大幅に超えてしまい、運動性能が大きく劣る結果になりました。このため「バカ烏」という不名誉な渾名がつくこととなりましたが、その運用においては不適切な設計によるものでもありました。1943年には「試製深山」と改名されましたが、最終的には不採用となりました。しかし、本機の開発を通じて得られた経験は、後の連山に活かされることとなりました。

輸送機型への改造と実戦

深山は陸上攻撃機としての役割を終えた後も連山の開発に役立てるために試験飛行を続けます。しかし戦闘が激化する1943年後半、増加試作機は実戦投入や廃棄処分が議論され、その結果、貨物運搬のための改造が行われました。1944年2月には「深山改輸送機（G5N2-L）」として第一〇二一航空隊に配属され、主に日本本土からマリアナ諸島への輸送任務に従事しました。

また、深山は魚雷の運搬も可能であり、「魚雷運搬機」としても利用されましたが、元々は試作機であったため、各部の整備には手間がかかり、運用面でもトラブルが多発しました。1944年には墜落事故や空襲による損失が相次ぎ、最終的に2機だけが残り、本土の厚木基地で地上訓練機材として扱われることになります。

陸軍への採用計画

深山はまた、陸軍仕様への改造計画があり、1940年には「キ68」としての計画が立てられましたが、最終的には性能不足が明らかになり、1943年には計画が中止されました。

主要諸元

• - 試製深山

- 全長：31.02m
- 全幅：42.14m
- 発動機：三菱火星一二型空冷複星型×4
- 最大時速：392km/時
- 乗員：7名

• - 陸上輸送機深山改

- 全長：29.46m
- 搭載量：貨物室4000kg、客室8名
- 武装：なし
- 乗員：6名

登場作品

深山は、いくつかの漫画やゲームにも登場し、特に『空軍力の勝利』では米空母に対する攻撃機として描かれ、また『艦隊これくしょん -艦これ-』や『War Thunder』でも登場するキャラクターとして知られています。

結論

深山は、その技術的な試みと不採用の経緯から、多くの教訓を後世に残す結果となりました。航空機開発の難しさや、実戦環境における適用の重要性を示す存在として、航空史に名を刻んでいます。

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