深日駅

深日駅：南海本線の歴史を刻んだ廃駅

概要

大阪府岬町深日地区（旧・泉南郡深日町）に存在した南海電気鉄道南海本線の深日駅は、昭和33年（1958年）4月1日に廃止された廃駅です。相対式ホーム2面2線の地上駅で、明治31年（1898年）10月22日、南海本線が尾崎駅から和歌山北口駅（現在の紀ノ川駅付近）まで延伸された際に開業しました。開業当初は、深日や多奈川、孝子地区の住民にとって重要な交通拠点でした。孝子越街道以西の地域からの利用が多く、周辺の集落の生活に密着した駅だったと言えるでしょう。

しかし、大正4年（1915年）4月11日に孝子駅が開業すると、深日駅の利用者は減少していきます。さらに、昭和19年（1944年）5月31日には川崎重工業泉州工場への輸送を目的とした多奈川線が延伸され、深日町駅と多奈川駅が開業しました。これにより、深日駅の旅客営業は廃止。翌年には貨物営業も廃止され、駅は休止、そして最終的に廃止に至ります。

歴史

深日駅の変遷を以下にまとめます。

明治31年（1898年）10月22日: 南海本線尾崎～和歌山北口間延伸に伴い開業
大正4年（1915年）4月11日: 孝子駅開業
昭和19年（1944年）6月1日: 旅客営業廃止
昭和20年（1945年）6月11日: 休止
* 昭和33年（1958年）4月1日: 廃止

鉄道唱歌との関わり

明治33年（1900年）に発表された鉄道唱歌第5集（関西・参宮・南海篇）の55番には、深日駅が登場します。歌詞には「深日はこゝよ夢のまに」とあり、当時の人々の生活に溶け込んでいた様子が伺えます。なお、歌詞では「深日」を「ふけひ」と表記しており、これは深日の地名表記の変遷を反映していると言えるでしょう。深日は古くは「ふけひ」と呼ばれ、「ふけい」を経て現在の「ふけ」に変化したと言われています。

駅構造

深日駅は相対式ホーム2面2線の地上駅でした。廃止後も、煉瓦造りのプラットホームなどが残存しており、かつての面影を留めています。プラットホームと線路の間が広いのは、貨物輸送が行われていた名残で、中線があったためです。また、南海本線の電化に際して深日変電所が併設され、駅廃止後も現在も稼働しています。

廃止後

駅は廃止されましたが、駅舎跡やプラットホーム、そして深日変電所など、その痕跡は現在も残されています。これらの遺構は、かつてこの地に存在した深日駅の物語を語り継いでいると言えるでしょう。 深日駅の存在は、南海本線の歴史、そして沿線地域の発展と密接に関わっており、貴重な産業遺産と言えるでしょう。

隣の駅

南海電気鉄道 南海本線

みさき公園駅 - 深日駅 - 孝子駅

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