深沢秋男

深沢秋男

深沢秋男（ふかさわ あきお、1935年11月17日 - 2021年1月15日）は、日本の国文学者です。専門は仮名草子であり、特に如儡子（じょらいし）の『可笑記（かしょうき）』の研究でその名を知られています。また、『井関隆子（いせき たかこ）日記』を再発見したことでも高く評価されています。

経歴

深沢秋男は、1935年山梨県身延町に生まれました。身延高等学校を経て、1962年に法政大学文学部日本文学科を卒業後、桃源社編集部に就職しました。その後、1969年に誠文堂新光社事典部に転職。

研究者としてのキャリアは、1983年に昭和女子大学専任講師に就任したことから本格的に始まりました。1987年には同助教授、1994年には教授へと昇進し、2005年に定年退職。昭和女子大学名誉教授の称号を受けました。

深沢秋男は研究者としてだけでなく、昭和女子大学図書館における貴重な古典籍の収集にも尽力しました。鹿島則文旧蔵の桜山文庫、鈴木重嶺旧蔵の翠園文庫を同大学図書館に収めるにあたり、その貢献は非常に大きいものがあります。

研究内容

深沢秋男の専門は、江戸時代初期に流行した小説の一種である仮名草子です。中でも、作者不明の『可笑記』の研究に力を注ぎました。『可笑記』は、当時の社会風俗や人々の生活をユーモラスに描いた作品であり、深沢秋男は、その文学的な価値を深く掘り下げました。

また、『井関隆子日記』の再発見は、深沢秋男の大きな功績の一つです。井関隆子は江戸時代後期の旗本夫人であり、その日記は、当時の武家社会の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。深沢秋男は、この日記を丁寧に校訂し、研究書を著すことで、広く世に紹介しました。

著書

『井関隆子の研究』和泉書院 2004年11月
『旗本夫人が見た江戸のたそがれ 井関隆子のエスプリ日記』文春新書 2007年11月
『斎藤親盛(如儡子)伝記資料』 近世初期文芸研究会 2010年10月

編纂・校訂

『可笑記評判』 浅井了意 近世初期文芸研究会 1970
『可笑記大成 影印・校異・研究 如儡子』 田中伸,小川武彦共編著 笠間書院 1974
『井関隆子日記』 勉誠社 1978-1981
『近世木活図録』 朝倉治彦共編 青裳堂書店 1984.5 (日本書誌学大系)
『仮名草子集成』 第10-21巻 朝倉治彦共編 東京堂出版 1989-
『仮名草子集成』 第22巻 朝倉治彦,柳沢昌紀共編 東京堂出版 1998.6
『桜斎随筆のしおり』 鹿島則良共編 本の友社 2000.11
『桜斎随筆』 第7-18巻 鹿島則孝 鹿島則良、村上直共編 本の友社 2001-2002
『仮名草子研究文献目録』 菊池真一共編 和泉書院 2004.12
『仮名草子研究叢書』　全8巻 菊池真一共編 クレス出版 2006
『仮名草子集成』 第39巻 菊池真一,和田恭幸共編 東京堂出版 2006.3
『仮名草子集成』 第41巻 花田富二夫,入口敦志,菊池真一,中島次郎共編 東京堂出版 2007.2
『假名草子集成』 第42巻 伊藤慎吾,入口敦志,花田富二夫共編 東京堂出版 2007.7


深沢秋男は、日本の国文学、特に仮名草子の研究において、多大な貢献をしました。その研究成果は、多くの研究者や学生に影響を与え、日本の古典文学研究の発展に大きく寄与しています。

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