深谷和子

深谷和子（ふかや かずこ、1935年5月14日 - 2024年1月2日）は、日本の臨床心理学者であり、東京学芸大学の名誉教授です。彼女は、特に幼児臨床心理学を専門とし、その分野における先駆的な研究と実践で知られています。東京出身の深谷は、東京教育大学教育学部心理学科を卒業後、同大学院教育学研究科博士課程を修了しました。

彼女の学術的なキャリアは、東京教育大学教育相談所での勤務から始まりました。その後、1974年に東京学芸大学の助教授に就任し、教授を経て1999年に定年退官するまで、長年にわたり教鞭を執りました。退官後は、東京成徳大学人文学部教授および心理・教育相談センター長を務め、2006年に退任しました。

深谷和子の研究は、幼児の心理発達、特に遊戯療法に着目したものが多く、子どもたちが遊びを通してどのように成長していくのかを深く掘り下げています。また、現代社会における子どもの問題にも積極的に取り組み、いじめ問題や情報化社会が子どもたちに与える影響についても考察を重ねました。彼女の著作は、教育関係者だけでなく、子育て中の親にとっても有益な情報源となっています。

著書には、『幼児・児童の遊戯療法』、『おチビさんの教育相談』、『「いじめ世界」の子どもたち 教室の深淵』などがあります。これらの著作は、彼女の臨床経験と研究成果に基づいており、子どもたちの心理的な問題を理解し、支援するための具体的なアプローチを示しています。また、教育学者である夫の深谷昌志との共著も多く、『女教師問題の研究』、『現代子ども論』、『遊びと勉強 子どもはどう変ったか』など、教育現場における様々な課題について夫婦で共同研究を行いました。

深谷和子の業績は、幼児教育の分野に大きな影響を与えており、彼女の研究は、現代の子どもたちが抱える問題に対応するための重要な基盤となっています。2024年1月2日に88歳で亡くなりましたが、彼女の残した知見は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

主な著書（共著を含む）

『幼児・児童の遊戯療法』黎明書房 1974
『おチビさんの教育相談』第三文明社 灯台ブックス 1979
『働くお母さんからの61通の手紙 何を愛し、どう生きるか』PHP研究所 1991
『「いじめ世界」の子どもたち 教室の深淵』金子書房 1996
『子どもを支える 子どもの発達臨床の今とこれから』北大路書房 日本子ども社会学会セレクション 2003
『ママの相談室 学力』高野清純共著 福村出版 1968
『女教師問題の研究 職業志向と家庭志向』深谷昌志共著 黎明書房 1971
『現代子ども論』深谷昌志共著 有斐閣双書 1975
『遊びと勉強 子どもはどう変ったか』深谷昌志共著 中公新書 1976
『子どもと生きがい』編 大日本図書 現代心理学ブックス 1979
『乳幼児心理学を学ぶ』高野清純共編 有斐閣選書 1981
『しつけ絵本 はじめてのお母さんとお父さんに贈る育児書』深谷和子とそのグループ著 主婦と生活社 1989
『ファミコン・シンドローム』深谷昌志共編 同朋舎出版 メンタルヘルス・シリーズ 1989
『子ども世界の遊びと流行』深谷昌志共編著 大日本図書 現代心理学ブックス 1990
『人間関係編』深谷昌志共著　2001年の子どもが危ないシリーズ フレーベル館 1993
『遊戯療法 子どもの成長と発達の支援』編著 金子書房 2005
『いま、子どもの放課後はどうなっているのか』深谷昌志,高旗正人共編 北大路書房 2006
『子どもの「こころの力」を育てる-レジリエンス 元気!しなやかへこたれない』上島博,子どもの行動学研究会, レジリエンス研究会共著 深谷昌志監修 明治図書出版 2009
『ユビキタス社会の中での子どもの成長 ケータイ時代を生きる子どもたち』深谷昌志,高旗正人共編著 ハーベスト社 2010
『社会的養護における里親問題への実証的研究 養育里親全国アンケート調査をもとに』深谷昌志,青葉紘宇共編著 福村出版 2013

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