清原家衡

清原家衡：奥州を揺るがした武将の生涯

清原家衡は、平安時代後期に奥州で活躍した武将です。生年は不明ですが、寛治元年（1087年）11月14日に没しました。父は清原武貞、母は安倍頼時の娘で、前九年の役で敗れた藤原経清の妻であった女性です。複雑な出自を持ち、異母兄に清原真衡、異父兄に清原清衡がいます。家衡は、清原氏の中でも特に重要な役割を担い、その生涯は激動の時代を反映しています。

混迷の時代と複雑な出自

家衡の父、武貞は前九年の役後、安倍氏有力者の藤原経清の妻を娶りました。この女性は安倍頼時の娘であり、既に経清との間に清衡をもうけていました。清衡は武貞の養子となり、その後、武貞と経清の妻との間に家衡が誕生しました。したがって、家衡の誕生は前九年の役後、1062年（康平5年）以降と推測されます。家衡は、清原氏と安倍氏という、当時の東北地方を代表する両豪族の血を引く、重要な出自を持っていました。

後三年の役と清原氏内紛

後三年の役において、家衡は当初、異父兄の清衡と手を組み、兄である真衡と対立しました。真衡は清原氏の惣領として一族を掌握しようとしており、家衡はこれに反発していたのです。1083年（永保3年）、真衡が出羽国に出陣した際に、家衡と清衡は反乱を起こしました。しかし、真衡の反撃にあい、一度は退却を余儀なくされました。

同年秋、源義家が陸奥守として下向すると、真衡は再び出羽へ出陣しました。この隙を突いて家衡と清衡は真衡の館を襲撃しましたが、真衡の妻子や義家の援軍によって大敗し、降伏しました。

ところが、真衡が出羽で病死すると、義家の裁定により、家衡と清衡は真衡の旧領を分割相続することになりました。しかし、家衡はこの裁定に納得せず、清衡との対立はさらに激化しました。

清衡との決裂と最期

1086年（応徳3年）、家衡は清衡の館を襲撃し、妻子を殺害しました。これにより、両者の関係は修復不可能なものとなりました。義家は清衡を支援し、家衡を攻めました。家衡は沼柵、そして金沢柵に立てこもり、清衡と義家の軍勢を撃退しました。叔父である清原武衡も家衡に加勢し、一時的に優勢に立ちました。

しかし、1087年（寛治元年）、吉彦秀武の献策による兵糧攻めによって金沢柵は陥落しました。家衡は愛馬を殺し、逃亡を図りましたが、捕らえられ、斬殺されました。家衡の死により、奥羽地方で勢力を誇っていた清原氏は滅亡しました。前九年の役後に生まれたと推測される家衡の享年は26歳以下であったとされています。

家衡の生涯から読み解く歴史

清原家衡の生涯は、後三年の役という激動の時代の中で、権力闘争や一族間の対立、そして運命の皮肉を象徴的に示しています。彼の複雑な出自、兄真衡との対立、そして異父兄清衡との決裂は、平安時代後期における東北地方の政治情勢の複雑さを如実に物語っています。家衡の最期は悲劇的ではありましたが、その短い生涯は、奥州の歴史において重要な足跡を残したと言えるでしょう。彼の生き様は、現代においても、歴史の教訓として、そして人間ドラマとして、私たちに多くのことを語りかけてきます。

もう一度検索