清原武衡

清原武衡：奥州を揺るがした武将の生涯と謎めいた系譜

清原武衡は、平安時代後期、奥羽地方で活躍した武将です。生年は不明ながら、寛治元年11月14日（1087年12月11日）に没しました。父は鎮守府将軍を務めた清原武則、母は安倍頼清の娘という説があります。兄に清原武貞、義理の兄弟に吉彦秀武がいました。将軍三郎、岩城三郎という通称でも知られています。

出自と出自をめぐる謎

武衡の出自については、諸説あります。1990年代以降、武則系を海道平氏（岩城氏）の一族とする説が提唱されましたが、史実とは考えにくいとする見解が有力です。これは、源頼俊による清原氏と海道平氏間の緊密な関係形成という歴史的背景が、後世の誤解を生んだ可能性を示唆しています。

『続群書類従』「清原系図」には、武衡が陸奥国磐城郡に住み、寛治5年11月に源義家によって滅ぼされたと記されています。一方、『百錬抄』には「平武衡」と、平姓を冠した記述が見られます。これらの記録から、海道平氏の平貞衡と清原武衡の間で養子縁組が行われた可能性が指摘されています。貞衡は清原武則の娘婿となり、清原真衡、藤原清衡、清原家衡らの後見役を務めたとも考えられています。

後三年の役と悲劇的な最期

清原氏は出羽地方に勢力を誇る豪族でした。武衡は陸奥国磐城郡を領していました。『清原系図』によると、父武則が前九年の役で安倍氏を滅ぼした際には、武衡の名前は登場しません。

後三年の役では、甥にあたる家衡が沼柵（現在の秋田県横手市）に籠城し、清原清衡・源義家連合軍を破りました。武衡は家衡を支援し、家衡の勝利を喜び、金沢柵（現在の秋田県横手市）への移転を勧めたと伝えられています。

しかし、義家方についた吉彦秀武の策謀により、兵糧攻めに遭った家衡は苦境に陥ります。士気を高めようと、武衡の乳母の子である平千任が義家へ訴えかけますが、かえって義家方の恨みを買う結果となりました。

武衡は義家の弟、義光に連絡を取り降伏を試みました。義光の郎党である藤原季方が交渉に訪れたこともありましたが、義家はこれを拒否しました。金沢柵落城後、武衡は蛭藻沼（現在の秋田県横手市）に潜伏していましたが、捕縛され、自害したと伝えられています。

義家は武衡を厳しく詰問し、助命嘆願があったにもかかわらず、斬首しました。その後、義家は平千任にも苛烈な処罰を加えています。

子孫と系譜の謎

武衡の娘は越後の有力豪族・城氏の当主、城資国の妻となり、城資永の母となりました。資永の子孫からは、建仁の乱で活躍した人物も出ています。しかし、戦国時代に現れた、武衡の子孫を自称する一族との系譜上の繋がりは、後世の仮冒の可能性が高いとされています。安田長秀、城貞茂などがその一族に含まれますが、資永から貞茂まで22代の隔たりがあり、系譜の信憑性に疑問が残ります。

まとめ

清原武衡は、後三年の役において重要な役割を果たした武将でした。その生涯は、奥州の動乱期を象徴するものであり、彼を巡る様々な伝承は、歴史の複雑さと謎めいた側面を私たちに示しています。彼の出自や子孫の系譜は、未だに多くの謎に包まれていると言えるでしょう。今後の研究によって、新たな事実が明らかになることを期待したいです。

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