清国行政法

『清国行政法』は、中国清朝の行政法、行政制度を総合的に体系化した書物であり、台湾総督府によって編纂されました。全6巻で構成され、本文は7分冊、索引が1冊となっています。完成したのは1915年です。

編纂の経緯

1903年、当時の台湾総督府民政長官であった後藤新平が、旧慣調査会第一部長の岡松参太郎の推薦により、織田萬に編纂を委嘱しました。織田は委員として狩野直喜を推挙し、浅井虎夫、東川徳治、加藤繁を補助員として迎え、編纂作業を開始しました。

この書は、総督府の臨時台湾旧慣調査会の第一部報告書として、『台湾私法』と共に編纂されました。ただし、文献調査が主体であり、実地調査は伴っていなかったため、その制度や法制が当時の実情に適合していたかどうかについては検証されていません。

調査対象となった文献は、会典、事例、則例、九通などの政書、およびその他の和漢書や洋書など多岐にわたります。

各委員・補助員の分担も明確であり、織田萬が行政法・自治制度・民籍・警察などを担当し、狩野直喜が中央官制・官吏法などを担当しました。加藤繁は、土地制度・産業・貨幣などを担当し、それぞれの専門知識を活かして調査執筆が行われました。そして、最終的に織田萬が全般の監修を行いました。

内容構成

『清国行政法』は、以下の内容で構成されています。

第一巻：行政法規、行政組織、官吏法、裁判制度
第二巻：内務行政（一）
第三巻：内務行政（二）
第四巻：内務行政（三）、軍務行政
第五巻：司法行政、財務行政（一）
第六巻：財務行政（二）

後藤新平の指示により、外国語訳も行われました。

補足

本書は、中国学の研究において重要な資料であり、清朝の行政制度や法制を理解するための貴重な情報源となっています。ただし、実地調査を伴わない文献調査が主体である点には留意が必要です。

関連項目

中国学

外部リンク

『臨時台湾旧慣調査会第一部報告 清国行政法』1936年巌松堂書店版（国立国会図書館デジタルコレクション）
第一巻 汎論
第二巻 各論 第一編 内務行政
第三巻 各論 第一編 内務行政（第二）
第四巻 各論 第一編 内務行政（第三）・第二編 軍務行政
第五巻 各論 第三編 司法行政・第四編 財務行政
第六巻 各論 第四編 財務行政（第二）
* 索引

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