中国学

中国学（ちゅうごくがく）

中国学とは、中国に関する様々な事柄、特に思想、文化、言語、歴史を研究する学問分野を指します。特に重要なのは、この分野が主に中国人以外による研究によって形成された点です。一般には東洋学の一部と見なされます。

概要

中国学の研究範囲は非常に広範であり、通常は古典学的な研究と現状分析的な研究の二つに大別されます。古典学的中国学は、古代の文献に焦点を当て、哲学や文学、歴史を探求します。一方、現状分析的中国学は、現代中国の社会や政治、経済の研究を含みます。両者の間に明確な境界を引くことは難しく、多くの場合、両者を合わせて中国学と呼ぶことが一般的です。

西洋語においては、中国学は「シノロジー（Sinology）」と呼ばれ、これは中世ラテン語の「sino-」（中国）と、学問を意味する接尾辞「-logy」を組み合わせた言葉です。この用語は18世紀初めのフランスの辞書に初めて登場しました。シノロジーは、特に西洋における中国研究の草分けとして、16世紀のイエズス会士による布教活動から発展しました。

欧米におけるシノロジーの成立

シノロジーの発展は、主にキリスト教の布教が大きな影響を及ぼしました。16世紀に中国に派遣されたイエズス会士であるマテオ・リッチは、中国の知識人や官僚と接触し、彼らに西洋の科学や文化を紹介しながら中国社会についての知識を蓄積しました。このことが、現代のシノロジーの基礎を築いたと考えられています。

初めての中国学に関する文献は、1585年に刊行されたスペイン人修道士メンドーサによる『シナ大王国記』です。この著作は中国の文化や制度に関する重要な情報源となり、その後の中国に関する研究の発展に寄与しました。これにより、一般にはシノロジーの発展の始まりと見なされています。

17世紀から18世紀にかけて、フランスのイエズス会士たちが中国での布教活動を重視し、彼らの見聞に基づいた著作が数多く出版され、中国に対する西欧の認識が大きく変わることとなります。この時期、彼らの報告書や著作が広く流布され、西洋では中国を理想的な進歩の象徴と見る風潮が生まれました。このような中国の理想化は、啓蒙思想においても引き継がれ、多くの思想家が中国の倫理や法制を評価しました。

日本における中国学

日本における中国学は、古代から続く学問の歴史を有し、特に江戸時代に「漢学」として発展しました。明治維新後、日本は洋学を積極的に採り入れ、近代的な学問体系が構築される中で、中国学も発展を遂げました。東京大学や京都帝国大学において、文学・哲学・歴史の分野が設置されたことで、中国学はアカデミズムとして確立されました。

さらに、戦前の帝国主義的な活動と関連して、中国の現状や経済、文化に関する研究が進められました。しかし、戦後は社会主義や国際関係の変化に伴い、中国学の方向性も変化しました。馬克思主義的な視点が導入され、現代中国に関する研究が進められましたが、それにより学問内での意見の対立も生じることとなりました。

結論

中国学は、中国についての深い理解を得るための重要な学問です。古典から現代まで広範囲にわたる研究が行われ、まさに多文化との対話を通じて成長してきたのです。今後も中国の社会と文化に関する研究の重要性は増していくことでしょう。

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