清明上河図

清明上河図とは

清明上河図（せいめいじょうがず）は、中国の北宋時代に描かれた風俗画で、当時の都、開封（かいほう）の繁栄ぶりを描いた絵巻です。作者は、北宋末期の画家、張択端（ちょうたくたん）とされています。この作品は、清明節の時期の都の賑わいを、人々の生活や建物を精緻に描き出し、当時の社会風俗や都市景観を知る上で非常に重要な資料となっています。

作品の特徴

清明上河図は、単なる風景画ではなく、当時の社会の様子を詳細に記録した風俗画としての側面が強いです。人々が活き活きと活動する様子、街の様子、橋や船、様々な商店などが細かく描かれており、当時の都の繁栄ぶりを今に伝えています。描かれている季節は春で、その情景から当時の人々の生活や文化を感じ取ることができます。この絵画は、美術的な価値だけでなく、歴史的な価値も高く評価されています。

清明上河図の多様な系統

原本は北京の故宮博物院に所蔵されていますが、その名声から後世に多くの模写が作られました。これらの模写は大きく3つの系統に分けられます。

1. 張択端の真作系統: 北宋時代の張択端の作品とされる系統ですが、現存するものは南宋初期に描かれたとする説もあります。また、巻末の落款部分が欠けており、後半部分が切り取られているという研究もあります。
2. 明代の画家、仇英（きゅうえい）の系統: 明代の画家、仇英が描いたとされる蘇州の風景を描いた模写の系統です。仇英の作品は、原本とは異なる独自の解釈や表現が加えられています。
3. 清院本系統: 清の時代、乾隆帝の命で宮廷画家たちが制作した模写です。この系統は、現在台湾の国立[[故宮博物院]]に所蔵されており、「清院本」と呼ばれています。これは、乾隆帝のために作られたもので、より華やかな表現が特徴です。

日本にある清明上河図

日本国内にもいくつかの清明上河図が所蔵されています。主なものとしては、以下のものがあります。

大倉集古館蔵本: 明代の仇英の模写本とされており、日本風の表装がされていることから、中国から直接入ってきたものではないと推測されています。
林原美術館蔵本: 明代の趙浙（ちょうせつ）による模写本で、重要文化財に指定されています。
茨城県筑波山神社蔵本: 明代の夏芷（か し）による模写本で、狩野探幽や林羅山の極書があります。清初ごろの作とする説もあります。
奈良県立美術館本: 箱書きに柳沢淇園の名前がありますが、淇園の作とするには疑わしいとされています。

この他にも、仙台市博物館、岡山市の妙覚寺、東京国立博物館、宮内庁などに所蔵されているものがあります。

清明上河図が描くもの

清明上河図には、当時の都の生活が克明に描かれています。橋を渡る人々、市場で商いをする人々、船で物資を運ぶ人々など、様々な職業の人々の様子が描かれています。また、建築物や街並みも細かく描かれており、当時の都市構造や文化を知る上で貴重な資料となっています。

関連する歴史的背景

清明上河図が描かれた北宋時代は、中国の歴史の中でも特に文化が栄えた時代です。この絵は、その時代の繁栄を象徴する作品と言えます。また、この絵が描かれた後、北宋は靖康の変によって滅亡し、南宋に移行します。そのため、この絵は北宋の都の栄華を伝える貴重な記録ともなっています。

まとめ

清明上河図は、単なる美術品としての価値だけでなく、歴史的な資料としての価値も非常に高い作品です。この絵を通して、当時の都の様子や人々の生活を垣間見ることができます。また、多くの模写が作られたことからも、この作品がいかに人々に愛され、重要視されてきたかがわかります。この作品は、過去の歴史を現代に伝える貴重な文化遺産と言えるでしょう。

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