清東陵

清東陵（しんとうりょう、満洲語：ᡩᡝᡵᡤᡳ ᡝᡵᡤᡳ ᠮᡠᠩᡤᠠᠨ）は、中国河北省唐山市遵化市に位置する、清朝の皇帝、皇后、妃嬪たちの陵墓群です。清朝が中国本土を支配するようになってから最初の皇帝である順治帝の孝陵を中心に、康熙帝の景陵、乾隆帝の裕陵、咸豊帝の定陵、同治帝の恵陵といった5人の皇帝の陵墓が築かれました。

その他にも、清朝初期の重要な皇太后である孝荘文皇后の昭西陵、東太后（慈安皇太后）の普祥峪定東陵、西太后（慈禧皇太后）の菩陀峪定東陵などの皇后陵、そして皇帝の側室たちのための妃園寝などが点在しています。清東陵は、河北省易県にある清西陵とともに、清朝の皇帝たちの大規模な陵墓群として知られています。

1961年には中華人民共和国の全国重点文物保護単位に指定され、その文化的、歴史的な価値が認められました。さらに、2000年にはユネスコの世界遺産に登録され、国際的にもその重要性が認められています。現在は、中国の5A級観光地（2015年認定）として一般公開されており、多くの観光客が訪れています。

しかし、清東陵はその歴史の中で悲しい出来事にも見舞われています。1928年7月1日、国民党の軍閥であった孫殿英の軍隊によって、大規模な略奪事件が発生しました（東陵事件）。特に、乾隆帝の裕陵と西太后の定東陵は、墓室が暴かれ、徹底的な破壊と略奪を受けました。盗掘の知らせを聞いた当時の皇帝であった溥儀は、国民政府に強く抗議しましたが、孫殿英は政府高官に賄賂を贈ったため、何の処罰も受けることはありませんでした。この事態に、溥儀は深く憤慨したと伝えられています。

清東陵は、清朝の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産であると同時に、近代中国の混乱期における悲劇を象徴する場所でもあります。

関連情報：
中華人民共和国の世界遺産
明・清王朝の皇帝墓群
* 清の陵墓群

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