清水元

清水元：昭和を彩った名脇役

清水元（1907年1月1日 - 1972年12月20日）は、日本の俳優として昭和の映画・テレビドラマ界で活躍した人物です。端正な顔立ちとがっちりとした体格を持ち、重厚な演技からコミカルな演技まで、幅広い役柄をこなす名脇役として知られていました。本名は清水元義。父は清水新報社の社長、長男はNHKディレクター、娘は声優の清水マリと、芸能界に縁のある家庭に生まれ育ちました。

経歴とキャリア

東京市神田区出身の清水は、中央大学商学部を卒業後、父の経営する広告代理店で勤務経験を積みます。その後、1937年に村瀬幸子・北村喜八夫妻が創立した芸術小劇場に入団し、新劇俳優としてのキャリアをスタートさせました。戦時中は移動演劇隊に参加し、戦後は劇団炎座に所属。舞台俳優としての経験を積み重ねていきます。

映画俳優としての本格的な活動は1953年以降で、『田園交響楽』（1940年公開）で映画デビューを果たしていましたが、本格的な活動はそれから始まりました。菅井一郎らの第一協団にも参加しながら、東宝、大映、松竹など多くの映画会社作品に出演。特に1956年からは大映の時代劇に多く出演するようになり、その存在感を増していきます。

黒澤明作品との関わりと多様な役柄

黒澤明監督作品には『野良犬』から『天国と地獄』まで8作品に出演しており、黒澤作品に数多く出演した俳優の一人として知られています。ただし、『野良犬』以外の作品では、多くがチョイ役での出演でした。それでも、黒澤作品に貢献した俳優として、その名を刻んでいます。

清水元は、悪役から重厚な役柄まで幅広い演技力で知られ、多くの作品で重要な脇役を演じました。時代劇から現代劇まで、その演技力は高い評価を受けていました。

テレビドラマへの出演

映画界での活躍にとどまらず、テレビドラマにも多数出演しています。特に『事件記者』（NHK）では準レギュラーとして長きに渡り出演し、視聴者から親しまれました。さらに、日本初のカラー特撮作品である『マグマ大使』（CX）では、マグマ大使を生み出した科学者、アース博士役を演じています。

没後

1972年、胃癌のため65歳で死去しました。映画出演作品数は220本近くに及びます。数々の作品で印象的な演技を残し、日本の映画・テレビドラマ史に名を残す名脇役として、現在も多くのファンに記憶されています。彼の残した作品群は、昭和時代の日本の映像文化を理解する上で貴重な資料となっています。

代表的な出演作品

映画

野良犬（1949年、東宝）
七人の侍（1954年、東宝）
蜘蛛巣城（1957年、東宝）
天国と地獄（1963年、東宝）
多くの時代劇作品

テレビドラマ

事件記者（NHK）
マグマ大使（CX）
多くの時代劇、現代劇作品

清水元は、その存在感と演技力で多くの作品を彩り、日本の映像文化に大きな足跡を残しました。彼の功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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