清水喜美子:多様な経験を脚本に昇華させた作家
日本の
脚本家、清水喜美子氏は、
1949年9月10日に
大分県中津市に生まれました。テレビドラマを中心に活躍し、人間ドラマや社会の様々な側面を丁寧に描いた作品を数多く世に送り出しました。
2024年8月13日、75歳でその生涯を閉じています。
脚本家への道は、極めて異色のキャリアを経て開かれました。故郷の大分を離れ、福岡、京都、東京と各地を移り住む中で、京都音楽文化協会での勤務をはじめ、障害を持つ子どもや大人のための専門歯科診療所での歯科衛生士、自閉症児の家庭教師など、多岐にわたる職業を経験しています。こうした多様な現場で培われた人間観察力や社会への視点が、後に
脚本家としての筆力に深みを与えたと考えられます。
1987年、長年の様々な経験を経て、ついにシナリオライターとして第一線に立ちます。デビュー後はテレビドラマの世界で精力的に活動を展開しました。特に、社会の抱える問題や人間の内面に深く切り込む「
木曜ゴールデンドラマ」や「
火曜サスペンス劇場」といったシリーズで多くの作品を発表し、注目を集めました。また、日常の中の喜怒哀楽を写し取る「
ドラマ30」シリーズや、人情味あふれる物語を描いた「
金曜エンタテイメント おふくろシリーズ」、「
愛の劇場」など、ホームドラマやコメディの分野でもその才能を発揮しました。
手掛けた作品は多岐にわたり、一つのジャンルに留まらない幅広い作風が特徴です。サスペンスから家族の絆を描いた物語、社会派のテーマを扱った作品まで、その筆致は多様な視聴者の心に響きました。多くの作品で他の
脚本家と共同で執筆していることも、彼女の柔軟な協業姿勢を示すものと言えるでしょう。テレビドラマ以外では、映画脚本も手掛けています。
脚本執筆活動と並行して、後進の育成にも尽力しました。
2006年からは、映画専門学校や脚本講座などで教鞭を執り、未来の
脚本家たちに自らの経験と技術を伝えています。
清水喜美子氏の描いた物語は、時に厳しく、時に温かく、常に人間という存在を見つめていました。その多角的な視点と豊かな表現力は、多くのテレビドラマ視聴者に感銘を与え、日本の映像文化に確かな足跡を残しました。
主な作品
テレビドラマ
木曜ゴールデンドラマ (日本テレビ)
愛が見えるとき(
1987年)
女たちの結婚方程式(1988年)
隣りの庭(1989年)
再婚時代(1989年)
愛さずにはいられない(1990年)
嫁・姑 母は強し娘も強し(1991年)
長崎物語 過去からの贈り物(1991年)
嫁・姑・中姑(1991年)
七人の女弁護士 第2シリーズ、第3シリーズ(1991年・1993年、テレビ朝日)
月曜・女のサスペンス 加賀友禅殺人事件(1991年、テレビ東京)
火曜サスペンス劇場 (日本テレビ)
深夜の偶然(1991年)
救急指定病院2(1994年)
PLAY ALONE ひとりで見てネ!(1991年・1992年、TBS)
六つの離婚サスペンス さらば、いとわしきものよ(1992年、関西テレビ)
七つの離婚サスペンス 美しい朝(1993年、関西テレビ)
内海隆一郎・心の旅シリーズ 風花の町へ(1993年、関西テレビ)
家族の模型(1993年、関西テレビ)
朝の連続ドラマ (読売テレビ)
パパっ子ちゃん(1993年)
のんの結婚(1993年)
サスペンス・明日の13章 白い空(1993年、関西テレビ)
火曜ドラマ (テレビ朝日)
お父さんは心配症(1994年)
先生はワガママ(1994年)
三都結婚物語 第3話 奈良篇(1995年、関西テレビ)
金曜エンタテイメント おふくろシリーズ 第11作 - 第14作(1995年 - 1998年、フジテレビ)
ダブルマザー(1995年、フジテレビ)
土曜ワイド劇場 殺意を抱く女たち!女秘書の誤算(1995年、テレビ朝日)
ドラマ30 (TBS)
愛の産科(1996年)
のんちゃんのり弁(1997年)
のんちゃんのり弁2(1998年)
幸福の予感 (1996年、フジテレビ)
名探偵保健室のオバさん 第7話(1997年、テレビ朝日)
その時がきた(1997年、フジテレビ)
はるちゃん2(1998年、フジテレビ)
'98杜の都恋物語 春菜17歳の決心(1998年、KHB)
愛の劇場 (TBS)
空への手紙(1999年)
よい子の味方(2004年)
'99杜の都恋物語 あなたは私の勇気になった(1999年、KHB)
女同士(2000年、フジテレビ)
はるちゃん5(2001年、フジテレビ)
女と愛とミステリー ノサップ岬の女(2002年、テレビ東京)
幸せ咲いた〜結婚相談所物語〜(2003年、フジテレビ)
間寛平少年物語(2003年、関西テレビ)
関ジャニ∞ドラマスペシャル 約束(未放送→中止、関西テレビ)
映画
箱の中の女2(1988年)