清水透 (歴史学者)

清水透の経歴と業績

清水透（しみず とおる、1943年7月30日生まれ）は、日本を代表する歴史学者であり、特にラテンアメリカ社会史やオーラル・ヒストリーの分野で卓越した研究を行っています。長野県松本市に生まれ、1966年に東京外国語大学のスペイン語学科を卒業後、同大学院でロマンス系言語専攻の修士課程を修了しました。その後、1976年にはメキシコ大学院大学にて歴史学の博士課程を修了しました。

教育と職歴

清水は、東京外国語大学スペイン語学科にて教授を務め、その後獨協大学やフェリス女学院大学でも教鞭を執りました。最終的には慶應義塾大学の経済学部教授として、2009年に定年退職するまで学生たちに多大な影響を与え続けました。また、1978年から1979年にかけてはNHKラジオや教育テレビにおいてスペイン語講座を担当し、広く教養を広める活動も行っていました。

研究業績

清水の研究は1979年からメキシコのチアパス州のチャムーラ村でのフィールドワークに始まり、特にサン・クリストバルの歴史に焦点を当てました。このフィールドワークから得られた結果は、著書『エル・チチョンの怒り メキシコにおける近代とアイデンティティ』（1988年）としてまとめられています。また、メキシコ革命に関するインディオの生涯を掘り下げた著作『コーラを聖なる水に変えた人々』（1984年）では、同人類学者リカルド・ポサスとの共著で、貴重な証言を記録しました。彼はフィールドワークに取り組む背景として、文字資料の限界や歴史家とその社会との乖離に気づいたことを挙げています。

主要著作

清水の著作は多岐にわたり、彼の研究の成果を集めた高度な学術的著作や一般向けの書籍が多数存在します。以下に彼の著作をいくつか紹介します。

• - 単著

- 『エル・チチョンの怒り メキシコにおける近代とアイデンティティ』（東京大学出版会, 1988年）
- 『ラテンアメリカ五〇〇年 歴史のトルソー』（岩波現代文庫, 2017年）

• - 共編著

- 『コーラを聖なる水に変えた人々 メキシコ・インディオの証言』（リカルド・ポサスとの共著, 1984年）
- 『ラテンアメリカ出会いのかたち』（慶應義塾大学出版会, 2010年）

骨髄バンクの普及活動

清水は、娘の清水真帆が白血病を患ったことをきっかけに、1993年に骨髄バンクの普及を目的とした「Maho-NET21」を立ち上げました。彼はこの活動を2005年まで続け、真帆は日本骨髄バンクを通じた骨髄移植を受けることができたものの、再発により1995年に亡くなりました。その後も清水は骨髄バンクのためのボランティア活動に積極的に参加し、骨髄移植推進財団の普及広報委員長も務めました。1997年には宣伝活動の一環として四国一周自転車ラリーに参加し、完走を果たしました。

まとめ

清水透は、ラテンアメリカの歴史と社会を深く掘り下げ、彼の研究や著作は今も多くの人々に影響を与えています。また、娘のための骨髄バンク普及活動も含め、彼の生涯は多くの人々に勇気と希望を与えるものとなっています。

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