清澄丸 (特設巡洋艦)

清澄丸の歴史

清澄丸（きよすみまる）は、国際汽船がかつて運航していた貨物船です。この船は、太平洋戦争中には特設巡洋艦および特設運送船としても活用され、その活動は多くの歴史的瞬間と共に語り継がれています。

船の背景と設立

清澄丸は1919年7月に日本の川崎造船所で建造されました。この年、国際汽船は遠洋航路の経営を目的として設立されました。設立当初は他の造船所や商業者との共同運営を行い、関連する船隊の主力となる船舶を確保しました。しかし、経済不況や昭和金融恐慌の影響を受け、経営は厳しい道を歩むことになりました。これを乗り越えた国際汽船は、政府の助成を活用して船質の改善を図り、ようやく優秀な船隊を形成するに至りました。この背景のもと、清澄丸の建造が進められました。

商業航海から戦争への道

清澄丸は1934年に竣工し、その後日本郵船に委託されニューヨーク航路での商業運航を開始しました。1937年には、オーナーである国際汽船が大阪商船に経営権を譲渡し、以後は自主運航船として7年にわたる商業航海を行いました。

1941年には、日本海軍に徴傭され、特設巡洋艦へと改装されます。その後は、連合艦隊の隷下に入り、主に輸送任務に従事しました。特に、「K作戦」と呼ばれる作戦の支援においては、サイパン島への進出を果たし、攻略部隊の編成にも参加しました。清澄丸は九五式軽戦車や高角砲を積み込んでミッドウェー島攻略のため出撃しましたが、戦局が変化し、作戦は中止して帰還を余儀なくされました。

戦争の激化とその後

1942年7月には第一南遣艦隊に編入され、インド洋において通商破壊作戦を行う準備が整ったところ、アメリカ軍によるガダルカナル島への上陸によって作戦は急遽中止となります。以降も清澄丸は陸軍部隊の輸送任務に従事しますが、1943年に入るとさまざまな艦船との連携が求められ、ミッドウェーやラバウル、ウェワクへの輸送任務を行います。

その後も清澄丸は、さまざまな輸送任務に参加し続け、特に1944年にはトラックへの輸送中にアメリカ潜水艦に攻撃されるも傾斜を復元し、修理を受けた後も運用が続けられました。

沈没とその後

1944年の初頭、米軍による空襲を受けた清澄丸は損傷を受け、最終的には沈没しました。現在、清澄丸は夏島（デュブロン島）の海底に横転した状態で存在し、多くの歴史の証人としてその姿を留めています。2023年には、沈没艦船の遺骨収集が行われ、清澄丸からも遺骨が引き揚げられたことが報じられました。

清澄丸は、開戦から沈没まで波乱に満ちた運命を辿りました。この艦わずか数十年の歴史の中に、戦争の側面のみならず船舶経営の変遷や国際関係の変化も詰まっています。今後もその記憶と意義を伝え続けていくことでしょう。

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