渡島大沢駅

渡島大沢駅

かつて北海道南部に存在した、国鉄・JR北海道松前線の鉄道駅、渡島大沢駅について解説します。

駅の概要

渡島大沢駅（おしまおおさわえき）は、北海道松前郡松前町字荒谷に位置していた、日本国有鉄道（国鉄）および北海道旅客鉄道（JR北海道）松前線の鉄道駅でした。松前線の全線廃止に伴い、昭和63年（1988年）2月1日にその歴史に幕を下ろした廃駅です。この駅には「オワ」という電報略号が付与され、事務管理コードは▲141508が用いられていました。

駅名の由来

駅名は、駅が設けられた場所の近隣の地名である「大沢」に、かつての令制国名である「渡島」を冠することで命名されました。

駅の歴史

渡島大沢駅の開業から廃止に至るまでの主な出来事は以下の通りです。

昭和21年（1946年）12月15日: 国有鉄道福山線の渡島吉岡駅・当駅間開業に伴い、終着駅として開業しました。当初は貨物や荷物も取り扱う一般駅でした。
昭和24年（1949年）6月1日: 日本国有鉄道法施行により、国鉄の駅となります。
昭和28年（1953年）11月8日: 当駅・松前駅間が開業し、福山線が松前線に改称されたことで、中間駅となりました。
昭和37年（1962年）11月9日: 貨物および配達の取り扱いが廃止されました。
昭和37年（1962年）7月1日: 業務委託駅となりました。
昭和45年（1970年）12月12日: 荷物扱いが廃止され、駅員が配置されない無人駅（簡易委託）となります。
昭和62年（1987年）4月1日: 国鉄分割民営化により、JR北海道の駅として継承されます。
昭和63年（1988年）2月1日: 松前線の全線廃止に伴い、廃駅となりました。

駅構造

廃止直前の渡島大沢駅は、単式ホーム1面1線のみを有する地上駅でした。ホームは線路の東側、つまり松前方面に向かって右手に位置していました。末期は無人駅でしたが、有人駅時代の木造駅舎がそのまま残っており、ホームに接して東側に建っていました。

松前線が営業していた頃、渡島大沢駅は地理的に北海道内で最も南に位置する鉄道駅でした。しかし、無人駅であったためか、そのことを示す特別な案内標識などは設置されていなかったようです。

利用状況

公開されているデータによると、昭和56年度（1981年度）における渡島大沢駅の1日あたりの平均乗降客数は44人でした。

駅周辺

駅が位置していた地域は津軽海峡に面しており、晴れた日には対岸の青森県にある竜飛崎を望むことができる、風光明媚な場所でした。駅の近くには、主要な幹線道路である国道228号線が通っています。その他、周辺には松前町の行政サービスを提供する大沢支所、郵便業務を行う白神郵便局、地元の子供たちが学ぶ松前町立白神小学校など、地域住民の生活に関わる施設が存在しました。また、駅から南東へ約4キロメートルの地点には、北海道の最南端とされる白神岬があります。さらに内陸側には、白神岳がそびえています。

駅跡の現状

松前線の廃止から時が流れ、渡島大沢駅の跡地は現在、草が生い茂る空き地となっています。駅の構造物としては、当時のホームの跡がわずかに確認できる程度です。

また、駅周辺には、かつて線路が通っていた名残としていくつかの鉄道橋梁が存在していました。平成11年（1999年）頃には、「荒谷川橋梁」や「櫃の下川橋梁」といった橋の本体部分が比較的よく残存していましたが、その後の調査である平成22年（2010年）の時点では、線路桁（ガーダー橋）の部分は撤去され、橋脚だけが残されている状況へと変化しています。

隣の駅

松前線が営業していた当時の隣接駅は以下の通りです。

北海道旅客鉄道（JR北海道） 松前線

渡島吉岡駅 - 渡島大沢駅 - 及部駅

まとめ

渡島大沢駅は、北海道最南端に位置していた松前線の重要な駅の一つとして、地域住民の生活を支え、津軽海峡の美しい景色を見守ってきました。路線廃止により姿を消しましたが、ホーム跡や周辺の橋梁跡に、かつて鉄道が走っていた時代の面影をかすかに感じることができます。

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