渡江戦役

渡江戦役の詳細

渡江戦役は、1949年に発生した国共内戦の最終段階であり、中国人民解放軍が長江を渡河し、南京を占領するために展開した重要な戦闘です。この戦役は1949年4月20日の夜に始まり、同年6月2日まで続きました。結果として、南京と上海が共産党軍の手に落ち、国民政府は致命的な打撃を受けました。

背景

1948年末から1949年初頭にかけて、中華民国政府は連続して共産党軍に敗北を喫しました。特に遼瀋戦役、淮海戦役、平津戦役が続いた結果、政府の地位は揺らぎ、1949年1月21日には総統の蔣介石が責任を取り引退を表明するに至ります。その後、副総統の李宗仁が総統代理に就任しました。春になると、長江北部では共産党の勢力が確立されており、共産党軍は兵力再編成を行い、「中国人民解放軍」と改名しました。このような状況下、戦局は急速に変化していきました。

前触れ

1949年4月、両軍の代表が北平で停戦交渉を試みましたが、共産党軍はその間に軍事演習を活発に行い、戦略を着実に進めました。国民政府側も江蘇、浙江、江西を防衛するために、湯恩伯率いる45万人の兵士を配備し、白崇禧が湖口から宜昌まで防衛を担当しました。しかし、共産党代表は最終通告を中華民国政府に送り、4月20日、政府側が停戦を拒絶すると、人民解放軍は長江を渡り、攻撃を開始しました。

戦役の経過

戦闘は4月20日の夜から始まり、人民解放軍は北岸から南岸へと渡河しました。人民解放軍の約30万人が動員され、すぐに中華民国海軍の一部が寝返る形で共産党側に参加しました。これにより中華民国側の防衛が突破され、南京は脅威にさらされることになります。蔣介石は軍の撤退を命じ、焦土作戦を指示しましたが、人民解放軍は江蘇を占領し続け、4月23日には南京をほぼ無抵抗で占領しました。

アメジスト号事件

戦役の最中、イギリス海軍のスループ艦アメジストが戦闘に巻き込まれ、人民解放軍から砲撃を受けました。イギリス海軍は重巡洋艦ロンドンとスループ艦ブラックスワンを派遣し、交渉の結果、アメジストは無事に退避しました。

さらなる進軍

人民解放軍は4月27日に蘇州を占領し、上海を脅かしました。その間、西側では人民解放軍が南昌と武漢にある国民政府の拠点を攻撃し、5月末までに南昌、武昌、漢陽を占領しました。さらに、人民解放軍は浙江を通過し、5月12日には上海戦役を開始しました。上海の中心部が5月27日に、浙江の残り部分が6月2日に陥落し、渡江戦役は終了しました。

大衆文化への影響

渡江戦役は中国の大衆文化にも影響を与えました。1954年には映画『渡江侦察记』が制作され、人民解放軍の士官の功績を描いています。この映画は文化大革命期にもカラーでリメイクされるほどの人気を博しました。

渡江戦役は国共内戦の流れを変え、中華人民共和国の成立に大きく寄与した歴史的な出来事として記憶されています。

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