湯恩伯

湯恩伯: 中華民国の軍人

湯恩伯（とう おんはく、1899年9月20日 - 1954年6月19日）は、中国の歴史において重要な役割を果たした中華民国の軍人です。彼は国民革命軍でさまざまな戦役に従事し、高い地位にまで昇進しましたが、日中戦争や国共内戦においては多くの敗北を経験しました。彼の最終階級は二級上将であり、旧名は克勤です。

初期の経歴と留学

湯恩伯は1916年に浙江省立第七中学に入学し、その後、杭州体育専科学校を経て1920年に卒業し浙江軍に参加しました。さらに彼は日本に留学し、明治大学法科に進学しましたが、資金の問題で帰国し、再度陸軍士官学校に入学しました。この経験が後に彼を指導する陳儀との師弟関係を築く基盤となりました。

昇進と戦功

帰国後、湯恩伯は陳儀の推薦によって少校参謀に昇進。その後、軍事教官として教育に関与し、1930年の中原大戦では重要な役割を果たしました。その後の紅軍討伐にも参与し、軍功を挙げて第2師師長に昇進するなど、彼の地位は着実に向上していきました。

日中戦争とその影響

日中戦争の勃発と共に、湯恩伯は重要な役割を果たしました。彼は第13軍を指揮し、激戦地で日本軍相手に戦闘を繰り広げました。彼の部隊は徐州外囲で日本軍を迎撃し、後の台児荘の戦いで勝利を収めるなど、戦局に貢献しました。しかし、1941年以降の戦闘では、彼の指揮する部隊が厳しい状況に直面し、特に河南省での大惨敗が目立ちました。

拡大とその代償

湯恩伯は大軍を持つまでに勢力を拡大し、「中原王」と称されるようになりましたが、その拡大には地元住民からの過酷な収奪が伴ったことから、彼への不満も高まっていました。さらなる厳しい戦況の中で、彼は河南省を日本軍に失陥し、責任を問われることとなりました。蔣介石の庇護が彼を守ったものの、その後は失脚の道をたどることになります。

国共内戦と最後の日々

戦後、湯は国共内戦においても指導的役割を果たしましたが、再び敗北を重ねることとなりました。徐州綏靖主任として復帰するも、淮海戦役での敗北は彼の指導力への疑念を深める形となりました。最終的に金門島に逃れた彼は、蔣介石の指示のもと中国人民解放軍を迎え撃ち、一定の成功を収めますが、その後は影響力を失い、1954年に東京で亡くなりました。享年56歳。

彼の遺産

湯恩伯の歴史的な役割は複雑です。彼は日本や共産党相手に戦った一方で、数々の敗北や問題も引き起こしました。そのため、彼の評価は分かれることが多いですが、彼の活動は中華民国の軍事史において欠かせない一部を形成していると言えるでしょう。

もう一度検索