渡良瀬橋 (曲)

渡良瀬橋 / ライター志望 (森高千里)

「渡良瀬橋」は、森高千里が1993年に発表した17枚目のシングルです。この曲は、森高自身が初めて楽器演奏（ドラムスなど）に挑戦した楽曲としても知られています。

楽曲について

「渡良瀬橋」は、夕暮れの渡良瀬橋で別れた恋人を思い出す女性の心情を描いた歌です。歌詞には、渡良瀬橋の風景や、八雲神社、公衆電話など、実際に足利市に存在する場所が登場します。これらの具体的な描写が、楽曲にリアリティを与え、聴く人の心に深く響きます。

森高千里は、新曲制作時にイメージが湧かず困っていた際、「言葉の響きの美しい川や橋」を探して「渡良瀬川」という文字に惹かれました。1989年に足利工業大学でライブを行ったことがあり、足利市内に渡良瀬橋という橋があることを知っていた森高は、現地を再訪し、橋の周辺を散策して歌詞を書き上げました。

歌詞中の「渡良瀬川の河原」は、橋の南側から下った場所にあり、森高は川の流れを見ていた時に感じた冷たい風をそのまま歌詞にしたと語っています。

リリースと反響

「渡良瀬橋」は、1993年1月25日にワーナーミュージックジャパンから発売され、同年4月25日にはシングルカセット版もリリースされました。1998年には、アルバム『LUCKY 7』と共に再発売されています。2012年からは、YouTubeの森高千里公式チャンネルで、ミュージックビデオや関連動画が公開されています。

この曲は、テレビ番組『いい旅・夢気分』のテーマ曲としても使用されました。

「渡良瀬橋」のヒット後、森高は足利市から感謝状を贈られ、2007年には渡良瀬橋と夕日が見える場所に歌碑が建立されました。2015年には、足利市から「あしかが輝き大使」に任命され、同時に、渡良瀬橋の最寄り駅である東武伊勢崎線足利市駅とJR両毛線足利駅で、それぞれ列車接近メロディーと発車メロディとして採用されています。

歌詞に登場する場所

歌詞に登場する「八雲神社」は、足利市内に複数存在しますが、森高はメロディの響きに合わせて選んだと語っています。渡良瀬橋に最も近い八雲神社は、北詰から徒歩約5分の場所にありますが、プロモーションCDでは、約1km離れた足利公園に隣接する神社が示されています。この神社が火災に遭った際には、森高が再建のために寄付を行っています。

歌詞中の「床屋の角にぽつんとある公衆電話」も足利公園近くに実在し、利用者の減少により撤去対象となっていたものの、市側の要望で撤去が回避されました。

2017年完全版

デビュー30周年記念企画として、2017年11月15日に「渡良瀬橋」の完全版がリリースされました。Blu-rayとUHQCDの2枚組仕様の通常盤と、7インチアナログレコードが付属された完全初回生産限定版BOX仕様の2形態で発売されました。

Blu-rayには、オリジナル版のミュージックビデオとメイキング映像、特典コンテンツが収録されています。オリジナル版のミュージックビデオは、35ミリフィルムで撮影されたものの、当時は音楽のイメージを表現するために粗い映像になるようにエフェクトが施されていましたが、完全版では35ミリフィルム本来の高画質映像を再編集し、HD化した映像が収録されています。

CDには、オリジナル音源の最新リマスタリング音源と、セルフレコーディングされた2017年バージョンが収録されています。

カップリング曲「ライター志望」

「ライター志望」は、「渡良瀬橋」のカップリング曲として発表されました。長らくアルバムに収録されていませんでしたが、2012年に発売されたベストアルバム『ザ・シングルス』に収録されました。

カバーバージョン

「渡良瀬橋」は、松浦亜弥をはじめ、多くのアーティストによってカバーされています。

松浦亜弥は、2004年10月20日に15枚目のシングルとして「渡良瀬橋」をリリースしました。カップリング曲の「I LOVE YOUの続き」には、ハロー!プロジェクト・キッズの中島早貴、鈴木愛理、萩原舞がコーラスで参加しています。

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