渡良瀬川

渡良瀬川について

渡良瀬川（わたらせがわ）は、北関東に位置する利根川水系の一級河川です。その流路は107.6kmにわたり、鬼怒川や小貝川に次いで長い支流の一つとして知られています。また、流域面積は2,621km²と、利根川の支流の中でもトップクラスです。

地理的特徴

この川の源泉は栃木県日光市と群馬県沼田市の間にある皇海山（すかいさん）にあり、足尾山塊の水を集めて草木ダムを通過した後、南西へと流れます。群馬県みどり市で平野に入ると、急に流れの方向を南東に変え、桐生市、足利市、太田市、佐野市、館林市などの町を流れていきます。栃木市藤岡地域で開削された洪積台地を越えた後、南の方角へ進むと渡良瀬遊水地に到達し、巴波川や思川と合流します。そして茨城県古河市と埼玉県加須市の境で利根川に合流します。

一般的には、日光市の足尾地区にある神子内川との合流点からの部分を「渡良瀬川」と呼び、その上流部は松木川（まつきがわ）として区別されています。ただし、国土交通省は足尾ダムから神子内川までの部分も含めて渡良瀬川に分類しています。

名称の由来

「渡良瀬」という名前は、上流に位置する足尾町の地名に由来します。伝説では、日光を開山した勝道上人がこの地を訪れた際、川を横断するのに適した浅瀬を見つけ、その場所に「渡良瀬」と名付けたと言われています。

歴史的背景

約5万年前には、渡良瀬川の流路は現在の大間々町付近から南向きに流れ、利根川へと合流していました。しかし、その後流れは東向きに変わり、当時は桐生市や足利市を通って流れていました。これにより、渡良瀬川は東南に向かって流れることになりました。古代には、川の本流は蛇行しながら上野国と下野国の国境を形成しており、その後、流路が変わり、現在の矢場川を経由することなく現在の流れに至ります。

戦国時代の終わり頃、渡良瀬川の流れは本格的に矢場川から分離され、現在の流路へと定まります。元和7年（1621年）には利根川の新たな流路が開削され、以降渡良瀬川は利根川の支流として機能するようになります。その後も、流路の一部には改修が行われ、新たなダム建設や河道の整備が進められました。

支流

渡良瀬川には多くの支流が存在します。主要な支流には、神子内川、庚申川、黒坂石川、小中川などがあります。これらの支流は、渡良瀬川と共に地域の水系を形成し、周囲の環境に大きな影響を与えています。

河川施設

渡良瀬川には、草木ダム、高津戸ダム、渡良瀬遊水地など、さまざまな河川施設があります。これらの施設は洪水防止や水資源の管理に役立っています。

現代の渡良瀬川

渡良瀬川はその美しい景観と歴史的な背景から、多くの観光客や歴史愛好者を惹きつけています。また、周辺にはサイクリングロードも整備されており、自然と地理を楽しむための良い環境が提供されています。これからも、渡良瀬川は地域の重要な水系として、その役割を果たし続けることでしょう。

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