渡辺弘之

渡辺弘之

渡辺弘之（わたなべ ひろゆき、1939年2月20日 - ）は、日本の森林生態学者であり、京都大学の名誉教授です。森林生態学、特に土壌動物の研究における第一人者として知られています。

人物

愛媛県今治市に生まれた渡辺弘之は、高知大学農学部を1961年に卒業後、京都大学大学院農学研究科林学専攻に進み、1966年に博士課程を修了しました。

京都大学では、農学部附属演習林助手（1966年）、農学部講師（1971年）、農学部助教授（1981年）を経て、1990年に農学部教授に就任しました。1999年からは農学部附属演習林長も務め、2002年に京都大学を停年退職しました。

1972年には、学位論文「森林における大型土壌動物の落葉粉砕と土壌耕耘に関する研究 : ミミズ類を主として」により、京都大学から農学博士号を取得しています。

研究内容と業績

渡辺弘之の研究は、森林生態系における土壌動物の役割、特にミミズなどの大型土壌動物が落葉分解や土壌構造に与える影響に焦点を当てています。また、熱帯林の生態系や保全に関する研究も行っており、東南アジアの森林や林産物に関する著書も多数あります。

教育者としても、多くの学生を育成し、森林生態学の発展に貢献しました。退職後も、著述活動や講演会などを通じて、自然科学の普及に努めています。

著書

渡辺弘之は、数多くの著書を執筆しており、その内容は専門的な研究書から一般向けの啓発書まで多岐にわたります。主な著書としては以下のようなものがあります。

『芦生原生林今昔物語』（あっぷる出版社、2021年）
『熱帯の森から 森林研究フィールドノート』（あっぷる出版社、2019年）
『神仏の森は消えるのか 社叢学の新展開』（ナカニシヤ出版、2019年）
『琵琶湖ハッタミミズ物語』（サンライズ出版、2015年）
『京都 神社と寺院の森』（ナカニシヤ出版、2015年）
『ミミズの雑学』（北隆館、2012年）
『土の中の奇妙な生きもの』（築地書館、2011年）
『由良川源流 芦生原生林植物誌』（ナカニシヤ出版、2008年）
『熱帯林の恵み』（京都大学学術出版会、2007年）
『果物の王様　ドリアンの植物誌』（長崎出版、2006年）
『東南アジア樹木紀行』（昭和堂、2005年）
『ミミズー嫌われものの働きもの』（東海大学出版会、2003年）
『カイガラムシが熱帯林を救う』（東海大学出版会、2003年）
『土壌動物の世界』（東海大学出版会、2002年）
『熱帯林の保全と非木材林産物—森を生かす知恵を探る』（京都大学学術出版会、2002年）
『アジア動物誌』（めこん、1998年）
『アグロフォレストリーハンドブック』（国際農林業協力協会、1998年）
『樹木がはぐくんだ食文化』（研成社、1996年）
『ミミズのダンスが大地をうるおす』（研成社、1995年）
『東南アジア林産物20の謎』（築地書館、1993年）
『東南アジアの森林と暮らし』（築地書館、1989年）
『アニマルトラッキング』（山と渓谷社、1986年）
『土の中の動物を調べよう』（さ・え・ら書房、1985年）
『南の動物誌』（内田老鶴圃、1985年）
『森の動物学』（講談社、1983年）
『ミミズの生活を調べよう』（さ・え・ら書房、1983年）
『登山者のための生態学』（山と渓谷社、1979年）
『京都の秘境・芦生』（ナカニシヤ出版、1970年）

これらの著書は、森林生態学や土壌動物学に関心を持つ人々にとって貴重な情報源となっています。

共著・訳書

渡辺弘之は、他者との共著や翻訳も手がけています。以下に主なものを挙げます。

（皆越ようせい） 『落ち葉の下の小さな生き物ハンドブック』（文一総合出版、2017年）
（皆越ようせい） 『土の中の小さな生き物ハンドブック』（文一総合出版、2005年）
（宮崎昭・北村貞太郎・桜谷哲夫・中原紘之）『熱帯農学』（朝倉書店、1996年）
（チャールズ・ダーウィン） 著、渡辺弘之 訳『ミミズと土』平凡社ライブラリー、1994年。
* （W・ヴィーヴァーズ・カーター）『熱帯多雨林の植物誌』（平凡社、1986年）

これらの著作もまた、渡辺弘之の研究活動の幅広さを示しています。

論文

渡辺弘之の研究論文は、国立情報学研究所のデータベースで確認することができます。

脚注

国立情報学研究所'>国立情報学研究所収録論文

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