演習林

演習林とは

演習林とは、林学の研究や教育を目的として設置された実習林や実験林のことです。大学などの教育機関において、森林に関する研究や学生の実習、教育活動の場として活用されています。また、近年では高等学校との連携授業や市民向けの公開講座など、地域社会への貢献も行われています。

歴史

演習林の歴史は、1894年に帝国大学農科大学に千葉演習林が設置されたことに始まります。その後、1899年には北海道演習林が内務省から移管され、帝国大学が海外領土を拡大するのに伴い、樺太、朝鮮、台湾にも広大な演習林が設置されました。特に外地3演習林は総面積が80,000ha近くにも及び、教育・研究活動だけでなく大学の財政基盤としても重要な役割を果たしていました。

京都帝国大学や九州帝国大学も、農学部や林学科の設置以前から海外に演習林を所有していました。これらの演習林は、教育・研究目的だけでなく、大学の財政を支える重要な役割を担っていました。例えば、九州帝国大学は、農学部設置計画が具体化する前の1911年には、樺太や朝鮮に広大な演習林を確保しており、その後も台湾から演習林の移管を受けています。

しかし、第二次世界大戦後、日本の敗戦に伴い、帝国大学が海外に所有していた演習林は全て失われました。その中で、九州大学は樺太演習林の代替として北海道演習林を取得しています。

一方で、高等農林学校では、政府の方針により、開校時に演習林を取得できないケースや、帝国大学と比較して規模が小さい演習林しか所有できないケースが多く、大学間で大きな格差が生じていました。

主な演習林

現在、日本各地の大学には以下のような演習林が存在します。

北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション 雨龍研究林
岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター
東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター
宇都宮大学農学部附属演習林
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林（千葉、北海道、田無、富士癒しの森、秩父、生態水文学研究所、樹芸研究所）
東京農工大学農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター
筑波大学山岳科学センター
新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
静岡大学農学部附属地域フィールド科学教育研究センター
名古屋大学大学院生命農学研究科附属演習林
岐阜大学応用生物科学部附属岐阜フィールド科学教育研究センター（柳戸試験林、位山演習林）
三重大学大学院生物資源学研究科附属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター附帯施設演習林
京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林
京都府立大学農学部附属演習林 久多演習林
奈良教育大学 附属自然環境教育センター
鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター（FSC）森林部門
島根大学生物資源科学部附属生物資源教育研究センター森林科学部門三瓶演習林
愛媛大学農学部附属演習林
高知大学農学部附属暖地フィールドサイエンス教育研究センター
九州大学農学部附属演習林（福岡演習林の一部は篠栗九大の森として一般公開）
宮崎大学農学部附属自然共生フィールド科学教育研究センター
鹿児島大学農学部附属演習林
琉球大学農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センター
日本大学生物資源科学部附属演習林 八雲演習林実習所
明治大学農学部演習林・農業試験場
東京農業大学地域環境科学部奥多摩演習林
玉川大学農学部附属総合生物環境情報センター森林科学部門

関連事項

日本の国有林
森林鉄道
学校林

外部リンク

* 全国大学演習林協議会

これらの演習林は、森林科学の研究や教育において重要な役割を果たしており、それぞれの地域特性や研究テーマに合わせた活動が行われています。また、地域住民向けのイベントや環境教育プログラムなども実施されており、地域社会への貢献も行われています。

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