渡辺誠 (考古学者)

渡辺誠（わたなべ まこと）は、1938年11月18日に福島県平市（現在のいわき市）で生まれ、2021年9月14日に逝去した、日本の考古学者です。名古屋大学の名誉教授として、長年にわたり考古学研究と教育に尽力しました。

学歴と職歴

福島県立磐城高等学校を卒業後、慶應義塾大学文学部に進学。同大学院文学研究科博士課程を単位取得満期退学しました。1995年には「日韓交流の民族考古学」の研究で慶應義塾大学から博士（史学）の学位を授与されました。

古代学協会研究員、平安博物館勤務を経て、名古屋大学文学部助教授、教授を歴任。2002年に名古屋大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、山梨県立考古博物館館長および山梨県埋蔵文化財センター所長を務めました。

研究業績

渡辺誠の研究は、特に縄文時代の食生活、漁業、植物利用に関するものが知られています。縄文時代の生活文化を多角的に捉え、その実態を解明することに貢献しました。また、日韓交流の歴史を考古学的な視点から分析するなど、幅広い研究活動を展開しました。

著書

渡辺誠は、多数の著書や論文を発表しており、その代表的なものとして以下の書籍があります。

『縄文時代の漁業』（雄山閣出版、1973年）
『縄文時代の植物食』（雄山閣出版、1975年）
『縄文時代の知識』（東京美術、1983年）
『日韓交流の民族考古学』（名古屋大学出版会、1995年）
『よみがえる縄文人 悠久の時をこえて』（学習研究社、1996年）
『目からウロコの縄文文化 日本文化の基層を探る』（ブックショップマイタウン、2008年）
『よみがえる縄文の女神』（学研パブリッシング、2013年）

これらの著書は、縄文時代研究における重要な文献として、現在も多くの研究者に参照されています。

共編著

渡辺誠は、共同研究も積極的に行っており、以下の共編著があります。

『古代人の暮らしをさぐる』（江坂輝弥共監著、福武書店、1986年）
『装身具と骨角製漁具の知識』（江坂輝弥共著、東京美術、1988年）
『人間の美術 1 縄文の神秘』（梅原猛共著、学習研究社、1989年）
『湖の国の歴史を読む』（編、新人物往来社、1992年）
『普及版・季刊考古学　縄文人・弥生人は何を食べたか』（甲元眞之共編、雄山閣出版、2000年）

これらの著作も、考古学研究に多大な影響を与えました。

業績

渡辺誠は、縄文時代研究の進展に大きく貢献しただけでなく、後進の育成にも力を注ぎました。その研究業績は、日本の考古学研究において重要な位置を占めています。また、学術的な研究成果を一般向けに分かりやすく解説した書籍も多く、考古学の普及にも貢献しました。

渡辺誠の学術的貢献は、考古学界のみならず、広く社会に影響を与え、その功績は後世に語り継がれています。

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