平安博物館

平安博物館：古代史研究の拠点から京都文化博物館へ

平安博物館は、かつて京都市中京区に存在した私立博物館で、1968年（昭和43年）に財団法人古代学協会によって開設され、1988年（昭和63年）までその役割を果たしました。この博物館は、現在の京都文化博物館の前身にあたる施設です。

平安時代の歴史に特化した博物館

博物館の英訳「Heian Museum of Ancient History」が示すように、平安博物館は平安時代を中心とした古代史を専門とする博物館でした。特に、源氏物語の最良の写本と評価される「大島本」を所蔵していたことで知られています。大島本は、貴重な文化財としてその価値が認められています。

沿革

1967年、財団法人古代学協会は研究機関として「平安博物館」を設立。翌年の1968年5月には、一般公開される博物館として開館しました。博物館の本館は、旧日本銀行京都支店（京都市中京区三条通高倉西入菱屋町）の建物を活用。この建物は、1967年に古代学協会に譲渡されたものです。歴史学者の角田文衞が館長を務めました。

平安博物館は、研究を重視する「研究博物館」として、当時の日本の博物館の中では異色の存在でした。専門職員には、通常の博物館の学芸員とは異なり、大学と同様の教授・助教授・講師・助手といった職階が与えられていました。

1986年4月、古代学協会は京都府の新博物館（京都文化博物館）建設計画に協力。平安博物館の土地と建物を京都府に移管するとともに、職員の多くを京都文化博物館の経営母体となる財団法人京都文化財団に移籍させました。そして1988年10月、京都府によって京都文化博物館が開館。旧平安博物館本館は、京都文化博物館の別館として利用されています。

1988年9月、古代学協会は平安博物館の研究部門を継承する機関として、古代学研究所を京都文化博物館別館内に設立。角田文衞が引き続き所長を務めました。この研究所は2008年12月まで存続しています。現在も、京都文化博物館別館には公益財団法人古代学協会の本部が置かれています。

平安博物館の閉館から30年目にあたる2018年には、京都文化博物館で「平安博物館回顧展」が開催され、博物館の活動が紹介されました。

施設と展示

本館として使用された建物は、辰野金吾とその弟子である長野宇平治が設計した旧日本銀行京都支店でした。1906年（明治39年）に竣工したこの建物は、1969年3月12日に重要文化財に指定されています。

展示は、以下の各室に分かれていました。

第1室：始源時代室
第2室：平安京遷都前の山城
第3室：平安の都
中央ホール：清凉殿
第4室：平安文学と生活の部屋
第5室：紫女の部屋

特に中央ホールには、平安宮内裏清凉殿の弘徽殿上御局の実物大復元模型が設置され、博物館のシンボルとなっていました。

平安博物館は、古代史研究における重要な拠点であり、その活動は京都文化博物館に引き継がれています。


外部リンク
財団法人古代学協会

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