渡邊學而

渡邊學而氏の足跡

渡邊學而（わたなべ がくじ）氏は、1935年生まれの日本の音楽評論家、合唱指揮者です。その活動は多岐にわたり、音楽界に大きな足跡を残しています。新字体では渡辺学而、または渡邊学而と表記されることもあります。

学生時代から音楽への情熱

東京教育大学附属高等学校を経て、1959年に慶應義塾大学経済学部を卒業しました。大学在学中は、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の学生指揮者として活躍し、音楽への深い情熱を育みました。

音楽指導者としてのキャリア

大学卒業後、日本ビクター株式会社に就職しましたが、1961年に退職。その後、ヴォイストレーナーとして学習院輔仁会音楽部男声合唱団の指導に携わり、1962年から1972年まで前田幸市郎氏と共に常任指揮者を務めました。この期間に、合唱音楽の指導者としての確固たる地位を築きました。

音楽評論家としての活躍

フリーの音楽評論家としても精力的に活動しています。その音楽解説は、専門知識がない人にも分かりやすく、音楽の魅力を伝えることに力を注いでいます。執筆活動は『Music monthly』『音楽芸術』『音楽現代』『音楽の友』『教育音楽』『レコード芸術』など多岐にわたり、その記事は国立国会図書館デジタルコレクションにも630件以上所蔵されています。

教育者としての貢献

長年にわたり、学習院大学、日本女子大学、武蔵野音楽大学で教鞭を執り、後進の育成にも尽力しました。また、文化庁の各種審査会や委員会の委員、青梅市の教育委員、NHKの音楽番組や高校講座の企画・解説者、NHK全国学校音楽コンクール全国大会の審査員など、様々な分野で活躍しました。

芸術選奨選考委員としての活動

2001年から2006年にかけては、芸術選奨文部科学大臣賞および芸術選奨文部科学大臣新人賞（音楽部門）の選考委員を務め、日本の芸術文化の発展に貢献しました。

主な著書

渡邊氏の著書は、音楽史や作曲家に関するものから、音楽鑑賞の指導法まで多岐にわたります。主な著書として、以下のようなものがあります。

『音楽文化史：音楽とヨーロッパ精神』（共訳）筑摩書房, 1968年
『音楽よもやま話』 現代教育社, 1985年
『フランツ・シューベルト』芸術現代社, 1985年
『音楽鑑賞の指導法―子どもの可能性を引き出す』音楽之友社, 1987年
『大作曲家の知られざる横顔』丸善ライブラリー, 1991年
『大作曲家の知られざる横顔 (2) リストからの招待状』丸善ライブラリー, 1992年
『ヨーロッパ音楽の流れ』芸術現代社, 2001年
『大音楽家 生涯と作品シリーズ フランツ・シューベルト』芸術現代社, 2005年
* 電子書籍 シリーズ『聴いて発見！クラシック音楽のひみつ』第1巻 ベートーヴェン：交響曲第5番 第1楽章 公益財団法人音楽鑑賞振興財団 2018年

これらの著書は、音楽愛好家だけでなく、音楽教育に携わる人々にも広く読まれています。

渡邊學而氏は、音楽評論、合唱指揮、教育、著述など、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、日本の音楽文化の発展に大きく貢献している人物です。

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