渡部高史

渡部 高史（わたべ たかし）は、1972年8月27日生まれ、北海道札幌市東区出身の元プロ野球選手です。ポジションは投手で、左投左打。

少年時代を北海道で過ごし、札幌市立陵北中学校を経て札幌琴似工業高等学校に進学。高校卒業を前にした1990年のプロ野球ドラフト会議において、横浜大洋ホエールズから6巡目で指名を受け、プロ入りの道を歩み始めました。

プロ入り後の1991年、10月8日の対阪神タイガース戦で待望の一軍初登板を果たします。渡部投手の武器となったのは、プロ入り前から独自に編み出したという、落差が小さくありながら大きく曲がる独特のカーブでした。ストレートの絶対的な威力はそれほど高くなかったものの、この変化球を駆使して打者を翻弄しました。球団名が横浜ベイスターズに変更された1993年には、中継ぎとして35試合に登板するなど、一軍での存在感を増し、キャリアの重要な一歩を記しました。しかし、翌1994年には成績が低迷。シーズンオフには、飯塚富司選手、伊藤敦規選手との3対2の交換トレードにより、水尾嘉孝選手、堀江賢治選手と共にオリックス・ブルーウェーブへ移籍することになります。

オリックス移籍後1年目の1995年には、新天地で復活を遂げます。この年は24試合に登板し、防御率も1点台を記録するなど安定した投球を見せ、チームのリーグ優勝に貢献しました。ところが、その後の1996年、1997年は再び不調に陥り、2年連続で勝ち星を挙げることができませんでした。特に1997年は、シーズン終盤の10月にわずか2試合の登板にとどまりました。同年オフ、五十嵐章人選手との交換トレードによって千葉ロッテマリーンズへ移籍することになります。ロッテでは当時手薄だった左の中継ぎとして期待され、皮肉にも横浜時代の監督であった近藤昭仁氏と再び巡り合う形となりました。

しかし、ロッテでの最初のシーズンとなった1998年は、残念ながら一度も一軍のマウンドに立つ機会を得られず、この年限りで現役生活にピリオドを打ちました。プロ野球選手としてのキャリアはここで終わりましたが、その後は新たな人生をスタートさせます。

引退後は運送会社に就職し、社会人としての一歩を踏み出しました。また、プライベートでは印象的な出来事もありました。2003年1月5日に発生した新日本海フェリー「すいせん」の漂流事故に、家族（妻と子供4人）と共に乗船者として遭遇しました。無事に下船した後には、『日刊スポーツ』の取材に応じたことも報じられています。現在は関西地方に勤務しながら、少年野球の指導にも熱心に関わっており、次世代の野球選手の育成に力を注いでいます。

プロ野球選手としての通算成績は、目覚ましいものではありませんでしたが、独特のカーブを武器に中継ぎとしてチームに貢献した時期もありました。キャリアを通じて背番号は度々変わり、横浜大洋時代には61番（1991-1993年）と47番（1994年）、オリックス時代には29番（1995-1997年）、そしてロッテ時代には34番（1998年）を背負いました。プロ初登板は1991年10月8日の阪神戦、初勝利は1993年9月26日の広島戦、初先発勝利はオリックス時代の1995年9月24日の日本ハム戦で記録しています。

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