温泉卵

温泉卵：とろーり半熟の秘密

温泉卵は、卵黄がとろりと半熟、卵白はやや固まった絶妙な茹で加減の鶏卵です。時に「温度卵」や「温玉」と呼ばれることもあります。温泉地では、温泉の熱を利用して作られることからこの名がついたとされ、旅館などで提供されることも多いです。

温泉卵と半熟卵、全熟卵の違い

ゆで卵は、卵の凝固状態によって、全熟卵、半熟卵、温泉卵の3種類に分類できます。

全熟卵: 卵黄も卵白も完全に固まった状態。
半熟卵: 卵白はほぼ固まっているが、卵黄は中心部が半流動状を保っている状態。卵白が先に固まることを利用して作られます。
温泉卵: 卵白は白く半流動状を保ち、卵黄は固まっている状態。卵黄の凝固温度が卵白より低いことを利用して作られ、卵白よりも卵黄が柔らかいのが特徴です。

温泉卵は、約70℃のお湯に卵を浸けることで作られます。この温度では卵黄は固まりますが、卵白は完全に固まらず、とろりとした食感が生まれます。

温泉卵の調理方法とアレンジ

温泉卵は、あらかじめ殻を割って器にとり、出汁醤油などをかけていただくことが多いです。麺類や丼物のトッピングとしても人気があります。ゆで卵と比べて殻を剥く手間がなく、料理に割り落とすだけで簡単に使える点が便利です。

生卵やゆで卵、卵焼きに比べて消化吸収が良いとされています。家庭では、魔法瓶や発泡スチロール容器、炊飯器の保温機能などを利用して簡単に作ることができます。また、専用の温泉卵製造機も市販されています。業務用では、一度に多数の温泉卵を調理できる電気式の製造器が使われています。

温泉卵と似た料理

温泉卵と似た料理にポーチドエッグがあります。ポーチドエッグは、殻を割らずに直接お湯で茹でる方法で作られますが、状態によっては温泉卵と混同されることがあります。

地域ごとの温泉卵

各地の温泉地では、その土地ならではの温泉卵が名物として提供されています。

ラジウム玉子: 福島県飯坂温泉や山形県小野川[[温泉]]など、温泉にラジウムを含む地域では、「ラジウム玉子」と呼ばれ、お土産としても人気があります。
荒湯の温泉卵: 兵庫県湯村温泉の「荒湯」は高温の温泉で、10分ほどで温泉卵が完成します。
雲仙地獄たまご: 長崎県雲仙温泉では、地獄谷の蒸気を利用して作られる温泉卵があり、温泉塩と一緒に提供されます。
別府の温泉たまご: 大分県別府市では、地獄釜を利用して作られる温泉卵が名物となっています。

台湾、ニュージーランド、タイなど海外でも温泉卵が食されています。

家庭で温泉卵を作る方法

家庭で温泉卵を作る方法はいくつかあります。

魔法瓶を使う方法: 68℃程度のお湯と卵を魔法瓶に入れ、一定時間置いて作ります。
鍋を使う方法: 沸騰させたお湯に水を足し、卵を入れて蓋をして放置します。
発泡スチロール容器を使う方法: 卵と熱湯を容器に入れ、ふたをして放置します。
ペーパードリップ式コーヒーメーカーを使う方法: サーバーに卵を入れ、コーヒー豆を入れずにドリップします。
炊飯器の保温機能を使う方法: 炊飯器の保温機能を利用して作ります。機種によっては保温温度が異なるため、取扱説明書を確認する必要があります。

食品衛生上の注意点

温泉卵は中心部温度が75℃に達しないため、食中毒のリスクがあります。しかし、日本の市販卵は生食を想定した衛生管理がされているため、危険性は生卵と同程度です。賞味期限を守って調理することが重要です。

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