卵黄

卵黄についての詳細

卵黄（らんおう）は、雌性生殖細胞である卵細胞の内部に貯蔵されている栄養物質です。特に鶏卵に代表されるように、卵全体を指すことが一般的です。卵黄は、卵細胞の中で卵白の浮遊物として存在し、その役割は卵子の成熟と胚の発育に必要な栄養を提供することです。すなわち、卵黄は受精後の胚が成長するために不可欠な要素なのです。

色と名称

卵黄の色は通常明るい黄色であり、日本語では「黄身（きみ）」と称されます。この名称は、英語の「yolk」という単語の由来でもありますが、「yolk」は古英語で黄色を意味します。卵黄の持つ色合いは、産卵母体が摂取する餌の成分に強い影響を受けます。そのため、鶏卵においても様々な色合いが見られます。また、別の言語では卵黄を「赤身」と表現することもあります。これらの色合いは、鳥類や爬虫類の卵に特有のもので、その他の動物では時には白や黒、さらには透明なものも存在しています。

構造と特徴

卵黄は鶏卵の重量の約30%を占めており、通常は卵白内で浮かんでいます。大きな卵では、カラザと呼ばれる組織によって卵殻の中心付近に固定されています。卵黄は、油滴のような形で存在しており、胚が成長するために必要な栄養素が豊富に含まれています。卵黄の表面には透明に近い円形の部分があり、これは胚盤と呼ばれ、細胞質が集中しているエリアです。ほとんどの鳥類において、胚の発生はこの部分で行われます。

受精卵における卵黄の役割

受精が成立すると、卵黄の上に胚が形成されます。この時点で、卵黄の表面には血管が広がり、胚に必要な栄養素を供給します。この供給により、卵割が進行し、胚は成長を続けます。他の動物の場合、卵黄内の栄養素と細胞質の配置によって、卵割の方式が異なることがあります。例えば、等割や不等割、表割といった様々なタイプの卵割が見られます。

鶏卵に関する一般的な誤解

鶏卵の色は、薄いクリーム色から濃いオレンジ色までバリエーションがありますが、これは飼料に含まれるカロテノイド系色素、具体的にはルテインに起因しています。これに関連し、栄養価は色の濃さによって異なるわけではありません。実際、日本では栄養価が高いと信じられ、色の濃い卵が優れているとの誤解が発生することがあります。この誤解を解くことは、消費者にとって重要な情報です。

参考文献

- 河野憲太郎、樋浦善敬、山本興三郎、「鶏卵の卵黄ならびに卵黄球の構造について」、日本家禽学会誌 Vol.8 (1971) No.1 P.1-14, doi:10.2141/jpsa.8.1

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