渭川道

渭川道（いせんどう）は、中華民国北京政府によって1913年（民国2年）に甘粛省に設置された道です。清代の鞏秦階道（きょうしんかいどう）の大部分を引き継ぎ、当初は隴南道（ろうなんどう）として設置されました。

沿革

1913年、隴南道として設置された後、観察使が天水県に置かれました。渭川道は、甘粛省南部の広範囲を管轄し、その下には天水、秦安、清水、徽県、両当、礼県、通渭、武山、伏羌、西和、武都、西固、文県、成県の14県が置かれました。これらの県は、現在の甘粛省の一部を構成しています。

1914年（民国3年）5月、行政機構の改革により、観察使は道尹（どういん）と改称されました。道尹は、道の行政を統括する責任者であり、地方行政における重要な役割を担いました。しかし、渭川道は比較的短命であり、1927年（民国16年）に廃止されました。

渭川道が廃止された背景には、当時の中国における政治的な混乱と地方行政区画の再編があります。軍閥の割拠や中央政府の弱体化により、地方行政は安定せず、頻繁な変更が行われました。渭川道の廃止も、その一環として捉えることができます。

行政区画

渭川道は、廃止直前には以下の14県を管轄していました（50音順）。これらの県は、渭川道の行政的な基盤を形成し、それぞれの地域において政治、経済、文化の中心としての役割を担っていました。

徽県（きけん）
秦安県（しんあんけん）
成県（せいけん）
西固県（せいこけん）
清水県（せいすいけん）
西和県（せいわけん）
通渭県（つういけん）
天水県（てんすいけん）
伏羌県（ふくきょうけん）
武山県（ぶざんけん）
武都県（ぶとけん）
文県（ぶんけん）
両当県（りょうとうけん）
礼県（らいけん）

これらの県は、渭川道の廃止後も、甘粛省の行政区画として存続し、現在に至っています。渭川道は短期間の存在でしたが、その管轄地域は、甘粛省の歴史と文化において重要な意味を持っています。

渭川道の歴史を理解することは、中華民国初期の地方行政制度や政治状況を知る上で有益です。また、渭川道に属した各県の歴史や文化を研究することで、より深く甘粛省の理解につながるでしょう。

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