湘南台 (藤沢市)

湘南台（しょうなんだい）

神奈川県藤沢市に位置する「湘南台」は、同市の北部地域における重要な中心地です。現在の行政区画としては、湘南台一丁目から七丁目までが指定されていますが、一部ではまだ住居表示の実施が見送られている区域もあります。

地理と街の成り立ち

湘南台は、藤沢市の北東部に広がる相模野台地の一角に位置しています。この一帯は、境川と引地川という二つの河川に挟まれた標高30メートルから50メートル程度の平坦な地勢が特徴です。台地上であるため、河川沿いの一部を除けば、大きな起伏は少ない土地柄です。

現在の湘南台の街並みは、藤沢市が進めた北部第一土地区画整理事業によって計画的に形成されました。この事業に基づき、湘南台駅を中心に、住宅地と市街地が一体となって整備され、整然とした街並みが広がっています。

地域の中央部を、南北に小田急江ノ島線が縦断し、そのやや東側には国道467号線（藤沢町田街道）が並走しています。さらに、小田急線と交差するように、相鉄いずみ野線と横浜市営地下鉄ブルーラインが地下を通り、湘南台駅に乗り入れています。この駅は、多方面への交通の結節点としての役割を担っています。

歴史的背景

「湘南台」という地名自体の歴史は比較的浅く、その成り立ちは戦後に藤沢市が推進した北部第一土地区画整理事業に深く関わっています。この区画整理事業が行われる以前は、現在の湘南台にあたる地域は、旧六会村に含まれていた円行、亀井野、今田、下土棚といった複数の集落にまたがる領域でした。一つのまとまった地域として認識されるようになったのは、この事業による開発が進んでからのことです。また、「湘南台」という地名も、古くから使われていたものではなく、地域の中央に開設された小田急江ノ島線の「湘南台駅」の駅名が先行して付けられたとされています。

歴史をさらに遡ると、この地域一帯は古代相模国の高座郡に属していました。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけては、周辺に成立した大庭御厨と渋谷荘という二つの大きな荘園の一部でした。現在の湘南台にあたる区域のうち、旧円行や下土棚などは渋谷荘に属しており、特に大庭御厨との境界に近い渋谷荘であったと考えられています。戦国時代に至るまでには、亀井野村から今田村が分村したという記録も残っています。廃藩置県を経て、現在の湘南台を含む広範な地域は六会村の一部となりました。

近代以降、藤沢市の北部では、北に位置する長後が古くから宿場町として栄えていました。しかし、湘南台地域が現在のように発展したのは、湘南台駅の開設とそれに続く大規模な区画整理事業が実施されてからのことです。

街の発展を示す沿革

湘南台地域の近代的な発展は、以下の重要な出来事によって形作られてきました。

1962年（昭和37年）：北部第一地区区画整理事業の施行区域が定められました。
1964年（昭和39年）：区画整理事業が着手されました。
1966年（昭和41年）：小田急江ノ島線に湘南台駅が開設されました。
1976年（昭和51年）：地域住民の憩いの場となる湘南台公園が開設されました。
1984年（昭和59年）：北部第一土地区画整理事業が完了し、同時に住居表示が実施されて、円行や今田の一部が新たに「湘南台」と命名されました。
1986年（昭和61年）：藤沢市総合市民図書館が竣工しました。
1989年（平成元年）：文化交流の拠点である湘南台文化センターが完成しました。
1999年（平成11年）3月：相鉄いずみ野線が湘南台駅への乗り入れを開始しました。
1999年（平成11年）8月：横浜市営地下鉄ブルーラインも湘南台駅まで延伸しました。
2005年（平成17年）：湘南台駅西口と慶應義塾大学間を結ぶ連節バス「ツインライナー」による急行バス運行が開始されました。

交通網と地域の結びつき

湘南台は、周辺に広がる藤沢市北部の工業地域（いすゞ自動車藤沢工場や桐原工業団地など）や、慶應義塾大学、文教大学、多摩大学といった高等教育機関への主要なアクセス拠点となっています。このため、地域内だけでなく、周辺地域を含めた交通の中心として湘南台駅が機能しています。

鉄道については、小田急江ノ島線、相鉄いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーラインの3路線が乗り入れており、特に相鉄線とブルーラインは当駅が終点となっています。

バス交通も発達しており、神奈川中央交通が運行を担っています。駅を挟んで東口と西口で発着路線や担当営業所が分かれており、それぞれの方面への移動を円滑にしています。

主要な道路としては、南北を縦断する国道467号線や、周辺地域を結ぶ土棚石川線、善行長後線、高倉円行線などがあり、自動車での移動にも便利です。地域内や周辺には、湘南台大橋や引地橋など、河川や道路を渡るための橋梁も整備されています。

街を彩る施設

湘南台地域には、市民生活を支える様々な施設が集積しています。

公共施設としては、多様な文化活動が行われる湘南台文化センターや市民シアター、地域行政を担う湘南台市民センター、蔵書豊富な藤沢市総合市民図書館、藤沢市北消防署などが挙げられます。教育機関も充実しており、複数の幼稚園、保育園、藤沢市立湘南台小学校、藤沢市立湘南台中学校があります。また、湘南台公園をはじめ、円行公園や原谷公園など、緑豊かな公園も点在し、市民の憩いの場となっています。

商業施設も豊富で、ダイエー、そうてつローゼン、業務スーパーといった食品スーパーから、イトーヨーカドー ザ・プライス、ユニクロ、ヴィクトリアなどの大型店、各種専門店や飲食店、銀行（みずほ銀行、横浜銀行、静岡銀行など）、郵便局なども揃っており、生活に必要なものは地域内で揃えることができます。地域外にも「湘南台」の名を冠する施設が見られます。

地域の歴史を感じさせる名所や史跡としては、今田鯖神社や円行八幡宮といった神社、古代の生活の痕跡を示すNo.106遺跡、梅田稲荷などがあります。

その他

ちなみに、「湘南台」という名称のバス停は、当地域だけでなく、藤沢市羽鳥地区（明治地区）にも存在します。これは、湘南台地区が誕生する以前から羽鳥の一部でこの地名が使われており、現在も「湘南台町内会」が存在しているためです。

このように、湘南台は、計画的な開発によって生まれた新しい街でありながら、利便性の高い交通網と充実した生活施設、そして歴史的な名残も持つ、藤沢市北部の中核を担う地域として発展を続けています。

郵便番号は252-0804です（集配局は藤沢北郵便局）。

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