湘東郡

湘東郡は、中国の三国時代から南北朝時代にかけて存在した郡であり、現在の湖南省南東部に位置していました。

成立と変遷

257年（呉の太平2年）、呉によって長沙郡の東部に湘東郡が設置されました。当時の湘東郡は荊州に属し、郡治は酃県に置かれました。この設置により、地域統治の新たな段階が始まりました。

307年（西晋の永嘉元年）には、荊州の7郡と江州の桂陽郡を分割して湘州が立てられると、湘東郡は湘州に転属しました。この変更は、行政区画の再編と地域間の関係の変化を示しています。

晋代の湘東郡は、酃県、茶陵県、臨烝県、利陽県、陰山県、新平県、新寧県の7県を管轄していました。しかし、395年（東晋の太元20年）には、酃県、利陽県、新平県の3県が廃止されました。これにより、湘東郡の管轄範囲は縮小しました。

南朝宋の時代には、湘東郡は臨烝県、新寧県、茶陵県、湘陰県、陰山県の5県を管轄していました。続く南朝斉の時代には、茶陵県、新寧県、攸県、臨烝県、重安県、陰山県の6県を管轄しました。これらの変化は、南北朝時代の社会情勢の不安定さを反映しています。

廃止

589年（隋の開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼすと、湘東郡は廃止され、衡州に編入されました。この結果、湘東郡の呼称は歴史から姿を消し、新たな行政区画の一部となりました。

このように、湘東郡は短い期間ではありましたが、中国の歴史において重要な役割を果たしました。その成立から廃止までの変遷は、当時の政治、経済、社会の状況を反映しており、中国史の研究において貴重な情報源となっています。

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