東郡

東郡（とう-ぐん）

東郡は、中国にかつて存在した郡であり、秦代から隋代にかけて、現在の河南省濮陽市および山東省聊城市にまたがる地域に設置されていました。

歴史

秦代

紀元前242年（始皇5年）、秦の将軍である蒙驁が魏を攻撃し、酸棗・燕・虚・長平・雍丘・山陽など20の城を攻略した際に、東郡が初めて置かれました。

漢代

紀元前196年（高帝11年）、皇子の劉恢が彭越に代わって梁王に封じられると、梁国に東郡が加えられました。しかし、紀元前181年（呂后7年）に劉恢が趙王となると、呂王呂産が梁王となり、その後の紀元前180年（呂后8年）に呂産が殺害されたことで梁国は廃止され、再び東郡が置かれることとなりました。この時の東郡は兗州に属し、濮陽・観・聊城・頓丘・発干・范・茌平・東武陽・博平・黎・清・東阿・離狐・臨邑・利苗・須昌・寿良・楽昌・陽平・白馬・南燕・廩丘の22県を管轄し、前漢末には40万1297戸、165万9028人の人口を擁していました。

王莽の時代

王莽の時代には、東郡は治亭郡と改称されました。

後漢代

後漢が成立すると、再び東郡の名称に戻されました。この時代の東郡は、濮陽・燕・白馬・頓丘・東阿・東武陽・范・臨邑・博平・聊城・発干・楽平・陽平・衛国・穀城の15県を管轄していました。

西晋代

277年（西晋の咸寧3年）、皇子の司馬允が濮陽王に封じられ、濮陽国が立てられると、濮陽国は濮陽・廩丘・白馬・鄄城の4県を管轄しました。

南朝宋代

南朝宋の時代には、南徐州に属する南濮陽郡が置かれ、廩丘・楡次の2県を管轄していました。

北魏代

北魏の時代にも、再び東郡が置かれました。この東郡は兗州に属し、滑台城に郡治が置かれ、東燕・平昌・白馬・涼城・酸棗・長垣・長楽の7県を管轄していました。

隋代

589年（隋の開皇9年）には杞州が置かれ、596年（開皇16年）には滑州と改称されました。その後、606年（大業2年）には兗州と改称され、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、兗州は東郡と改称されました。この時代の東郡は、白馬・霊昌・衛南・濮陽・封丘・匡城・胙城・韋城・離狐の9県を管轄していました。

唐代

618年（武徳元年）、唐が郡制を廃止すると、東郡は滑州と改称され、東郡の呼称は歴史から姿を消しました。

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