湯泉神社

湯泉神社（とうせんじんじゃ）

湯泉神社は、兵庫県神戸市北区有馬町に所在する神社で、温泉文化との深いつながりを持った神社です。この神社は時折「おんせんじんじゃ」とも呼ばれ、温泉神社とも記載されることがあります。式内大社であり、過去には郷社の地位が与えられていました。

歴史

この神社の起源には、古代の伝説が深く関わっています。大己貴命（おおなむちのみこと）と少彦名命（すくなひこな）の二柱の神々が、赤い湯に浸かる三羽の烏を見て、有馬温泉を発見したという物語が伝えられています。この故事に基づき、二柱の神々を祭神として奉納し、その記念として拝殿には三羽の鳥を彫刻してあります。

更に、建久2年（1191年）に始まる仁西上人による有馬温泉の再興時期からは、熊野久須美命も新たに奉納され、これらの神々は「鎮護三神」と称されています。湯泉神社の重要性は、日本書紀においても言及されており、舒明天皇や孝徳天皇の参拝が記録されています。また、平安時代初期には延喜式神名帳の中で492大社の一つとして認められており、当時の格式の高さを伺わせます。

一時期は、愛宕山麓に位置する温泉寺境内に社殿がありましたが、1885年（明治18年）に現在の愛宕山中腹へと移転し、再構築されました。現在も郷社としての地位を有しています。社殿へ向かうには、温泉寺の本堂前にある鳥居と石段を利用します。

社名の由来

神社の名称については「温泉神社」という表記も見受けられ、読み方には「とうせんじんじゃ」や「とうぜんじんじゃ」、「ゆのじんじゃ」といった異なる説がありますが、現在一般的に用いられているのは「湯泉神社」と「とうせんじんじゃ」です。また、延喜式神名帳では摂津国有馬郡に「湯泉神社（ゆのじんじゃ）」が記載されています。

祭神

湯泉神社の主祭神は、大己貴命、少彦名命、そして熊野久須美命の3柱であり、彼らは有馬温泉を守護する神々として信仰されています。

境内の構成

神社の境内には本殿の他にも、拝殿や天津社、国津社、金刀比羅神社、胸形神社、子安堂、妙見堂、社務所などが配置されています。特に重要文化財として絹本著色熊野曼荼羅図が秘蔵されています。

祭事

湯泉神社では、年間を通じて様々な祭りが執り行われます。具体的には、1月2日の入初式、5月5日の鎮花祭、7月3日の御輿渡御などが行われており、多くの信者や観光客が訪れます。

交通アクセス

神社へのアクセスは、神戸電鉄の有馬温泉駅から徒歩10分、また六甲有馬ロープウェイの有馬温泉駅からも徒歩10分と非常に便利です。訪問時には、自然豊かな環境の中で、温泉と信仰の歴史を感じることができることでしょう。

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