満佐須計装束抄

満佐須計装束抄（雅亮装束抄）

満佐須計装束抄、通称雅亮装束抄は、平安時代の終わり頃に成立した有職故実書であり、主に平安装束に関する文献です。この書は、源雅亮によって著作され、その名称「満佐須計」は、まさすけという仮名の文字を万葉仮名で表現したものです。

概要

本書は、鎌倉時代に発行された『後照念院殿装束抄』に『雅抄』として引用されたり、室町時代中期の『蛙鈔』に『徳大寺家装束抄』として言及されています。これらの書物に共通して見られる内容は、流布されている3巻本に含まれ、特に後者には亮行の裏書の引用も存在します。このような形で、雅亮装束抄は歴史的な文献として評価され続けています。

写本の系統

現存する写本は、主に2つの系統に大別されます。

1. 3巻本（流布本）
江戸時代の元禄年間に、一条家の依頼で『類聚雑要抄』が絵画化される際、東園基量が参考資料として用いたことから流布が始まりました。この系統に属する写本の一部は、室町時代の応永年間に大炊御門冬信の識語を含むものがあります。特に、女房装束に関する第三巻は、共通の脱文が見られる点が特徴です。元禄の時代には、多数の写本が制作され、その中には貴重な記録が含まれていました。

2. 抄本
女房装束に特化した記事の一部のみを取り出した異本が、有職文化研究所や宮内庁書陵部に保存されています。明徳年間に高倉永行が写したものの転写本であり、この異本における五衣の重ねは絵巻として表現され、室町時代には多数の模本が残されています。この絵巻の前半部分は、別の文献で文字化されている点も注目です。

備考

江戸時代の元禄から正徳の時期に活躍した公家で有職家の野宮定基は、源雅亮が著者であるかどうか疑問を呈しました。しかし、彼はその主張を特に否定する理由もないと考えており、内容を見る限りでは、平安後期以降に「装束師」としての専門知識を有する中級貴族が係わったことが示唆されています。特に、五節の童女や下仕の装束に関する詳細な記述があり、雅亮の人物像との整合性を感じさせます。

参考文献

• - 宇都宮千郁著「雅亮装束抄考証」- 中古文学, (通号 56) [1995.11]
• - 鈴木敬三著「仮名装束抄と源雅亮」- 國學院雑誌, 80(11) [1979.11]

外部リンク

• - 有職文化研究所

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