満洲国協和会

満洲国協和会

満洲国協和会は、満洲国において官民一体で国民を教化する目的で設立された組織です。そのルーツは、満洲事変後に中華民国からの分離独立と王道政治を掲げた自治指導部に遡ります。満洲国建国後、自治指導部は解散しましたが、そのメンバーが中心となり、関東軍の支援を受けて「満洲国協和党」が結成されました。

設立と変遷

当初、協和党は石原莞爾らによって一党独裁制を目指す組織として構想されました。しかし、小磯國昭らの介入により、旧協和党メンバーが排除され、関東軍と日本からの官僚が主導権を握り、教化団体へと変質していきました。この過程で、協和会中央本部の甘粕正彦や古海忠之と、東京事務所を拠点とする石原一派との対立が激化しました。日中戦争が勃発すると、協和会は国家総動員体制の一翼を担うようになります。

組織と活動

協和会は、地域ごとの「分会」を基本単位とし、地方行政機関ごとに本部が設置されました。分会代表が集まる連合協議会は、民意を汲み取る機関として期待されましたが、実際には政府の意向を反映する場となりました。機関紙としては、「工作月報」「協和会誌」「協和運動」などが発行され、組織の活動を広報しました。また、青年訓練所や義勇奉公隊、青少年団を設立し、国民の教化と動員を強化しました。さらに、隣組を設置して全住民への浸透を図り、政府と一体化した活動を行いました。

終焉

1945年8月、ソ連軍の満洲侵攻と日本の敗戦により、満洲国支配体制が崩壊し、協和会も解散しました。協和会は、満洲国における日本の影響力を象徴する組織であり、その変遷は日本の大陸政策の変遷を反映しています。

幹部

結成時の幹部には以下の人物がいました。
名誉総裁：愛新覚羅溥儀
名誉顧問：本庄繁
会長：鄭孝胥
事務局長：謝介石
事務局次長：中野琥逸
中央本部長：橋本虎之助
名誉理事：橋本虎之助、駒井徳三、板垣征四郎など

綱領

協和会の綱領は以下の通りでした。

満洲帝国協和会は唯一永久、挙国一致の実践組織体として政府と表裏一体となり

建国精神を顕揚し
民族協和を実現し
国民生活を向上し
宣徳達情を徹底し
国民動員を完成し
以って建国理想の実現、道義世界の創建を期す。

関連事項

満洲国協和会は、日本の新体制運動や大政翼賛会、国民総力朝鮮連盟、皇民奉公会、関東州興亜奉公連盟など、同時期の様々な組織と関連があります。また、橋本虎之助、三宅光治、甘粕正彦、古海忠之、和田勁、古市春彦、板垣守正、辻政信、小澤開作、小塚光彦、武藤富男など、多くの人物が協和会に関わっていました。

参考資料

貴志俊彦『満洲国のビジュアル・メディア――ポスター・絵はがき・切手』吉川弘文館、2010
* 『満州国協和会』 - コトバンク

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